1992 Fiscal Year Annual Research Report
フロンティア軌道理論に基づく液相吸着平衡の新相関法
Project/Area Number |
04650853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田門 肇 京都大学, 工学部, 助教授 (30111933)
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Keywords | 液相吸着平衡 / フロンティア軌道理論 / 半経験的分子軌道法 / 活性炭 / 合成吸着剤 / 吸着相互作用 / 吸脱着履歴 |
Research Abstract |
1.液相吸着平衡データベースの作成 活性炭(CAL炭),スチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤における14種類の芳香族炭化水素と4種類の脂肪族炭化水素の液相吸着平衡を接触濾過法で測定した.さらに吸着後の吸着剤を純水で脱着し,吸脱着の履歴を評価した.吸着平衡は芳香族化合物の置換基の影響を著しく受け,電子供与性の置換基を有する化合物は吸着量が大きい結果が得られた.他方脱着特性に関しては,活性炭において電子供与性基を有する化合物は吸脱着の履歴を示すが,電子供与性基を有する化合物では,吸脱着が一致し,履歴が生じなかった.合成吸着剤では全ての化合物に関して履歴が見受けられなかった.このように液相吸脱着特性は吸着質の化学構造と吸着剤の表面化学構造に強く依存し,電荷移動相互作用が重要な役割を果たすことがわかった.また,得られた吸着平衡にDR式が適用でき,吸着剤-吸着質間の親和係数が決定された. 2.液相吸着相互作用の検討 活性炭表面を炭素原子28個の多環芳香族化合物,合成吸着剤表面を炭素原子18個のスチレン-ジビニルベンゼン重合体としてモデル化し,半経験的分子軌道法(MINDO/3)を吸着剤と吸着質に適用し,エネルギー準位と分子軌道の係数を求めた.次に,分子軌道混合による吸着質-吸着剤,吸着剤-溶媒(水),吸着質-溶媒間の安定化エネルギーをフロンティア軌道理論を適用して求めた.吸着後は吸着剤-吸着質-溶媒が3体相互作用していると考え,吸着質-溶媒が相互作用している状態との全安定化エネルギーの差を吸着相互作用エネルギーを表す指標とした.この指標を用いてDR式から求まる親和係数を相関したところ,活性炭,合成吸着剤ともにほぼ良好が相関が得られた.また,相互作用エネルギーが大きい吸着質の場合,吸脱着の履歴が発現することが判明した.
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