1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650856
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 雄志 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90029512)
|
Keywords | 光学分割 / 電気泳動 / アミノ酸 / シクロデキストリン |
Research Abstract |
本研究では,キラリティ識別能をもつシクロデキストリンをホスト分子として光学異性体との包接反応を行わせ,D体とL体との包接能の差に基づく電気泳動速度の相対差を利用した連続光学分画法を実現するための基礎研究を行った.本科学研究費補助金で購入したキャピラリー電気泳動装置を用いて光学異性体ならびにその包接化合物の泳動速度の測定を行った.光学異性体試料としてアミノ酸の一種であるフェニルアラニンを用いた.電気的中性物質であるデキストリンをマーカーとして用いてキャピラリー中の電気浸透流の速度を求め,それをもとにフェニルアラニンの泳動速度ならびにシクロデキストリンとの包接化合物の泳動速度を求めた.また,泳動緩衝液のpHを変えた実験も行い,泳動速度のpH依存性を調べた.これらの泳動曲線から包接反応速度は泳動・拡散速度に比べて速いことならびにシクロデキストリンはフェニルアラニンと1対1の包接反応を行うことを確かめ,反応平衡定数(包接反応の結合係数)と泳動速度との間の定量的な関係を得た.得られた包接反応平衡式と多成分系イオンの輸送方程式を組み合わせて,流通系2次元泳動場に供給されたD体・L体の泳動分離過程を解析し,分離度に及ぼすラセミ体濃度,ホスト分子濃度,泳動緩衝液pH,印加電圧と泳動時間との関係を定量的に検討した.また,シクロデキストリンを含む泳動液を槽全体に流し,その一部から光学異性体のラセミ体を供給する形式の連続光学分割装置として微小ガラス球を充填した薄層泳動槽を試作した.現在,連続光学分割実験データを採取している.
|