1992 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光セラミック半導体薄膜の光反応触媒作用を利用した化学センサーの開発
Project/Area Number |
04650857
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
迫原 修治 広島大学, 工学部, 助教授 (80108232)
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Keywords | セラミック半導体 / 酸化亜鉛微粒子 / 酸化亜鉛薄膜 / ゾル-ゲル法 / 蛍光 / 光触媒 / 化学センサー |
Research Abstract |
本研究では、ゾル-ゲル法によって酸化亜鉛薄膜を作製し、蛍光を利用した化学センサーの可能性を検討した。実施に当たっては、膜の作製条件による可視光領域の蛍光強度および波長の変化を調べ、ゾル-ゲル法によって生成する酸化亜鉛微粒子および薄膜の蛍光特性を把握し、次いでこの薄膜の有機ガス雰囲気中での蛍光特性の変化を調べた。以下に得られた知見の概要を示す。 1.酸化亜鉛コロイドは、酢酸亜鉛をエタノールと反応させた後、水酸化リチウムで加水分解して調整した。本法で生成する酸化亜鉛コロイドの粒子径は数nmのオーダーであるが、反応条件および加水分解条件によって粒子径および粒子表面状態が異なる。特に、粒子表面には出発物質由来の酢酸誘導体が結合あるいは吸着しており、この構造および量が可視光領域の蛍光およびコロイドの安定性に著しく影響を及ぼす。 2.酸化亜鉛薄膜は、シリコンウエハー上にコロイドをディップコートし、乾燥、焼成して作成した。焼成温度が低くても薄膜を構成している酸化亜鉛粒子表面上の有機物の構造および量が変化し、これに伴って蛍光が変化する。また、酸素存在下で紫外線を照射しても同様な現象がみられる。これらの結果は、この薄膜の触媒作用を示唆している。 3.酸素濃度を種々に調整した有機ガス雰囲気中での薄膜の蛍光特性を調べた。蛍光強度は有機ガスおよび酸素の濃度に依存するが、粒子表面合の有機物の構造および量によって酸素濃度の影響および蛍光波長が異なる。また、極微量の有機ガスに対して蛍光強度が大きく変化する。 以上の結果から、ゾル-ゲル法により作製した酸化亜鉛薄膜では酸化亜鉛粒子表面上の有機物の構造および量が可視光領域の蛍光に大きく影響し、これらは有機ガス雰囲気中での蛍光にも大きな影響を与える。今後さらに検討を要するが、化学センサーとしての応用が期待できる。
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