1992 Fiscal Year Annual Research Report
分子レベルの凝集が関与するバイオプロセスに関する工学的研究
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04650864
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
矢木 秀治 関西大学, 工学部, 教授 (70109891)
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Keywords | 分子レベルの凝集 / リフォルディング / 変性タンパク質 / 限外ろ過 / 高分子の分離 |
Research Abstract |
分子レベルの凝集が生理活性物質を対象とする場合には,核発生に重要とされる萌芽や胚種と呼ばれるものよりはるか以前の段階で影響が現れてくると考え,その現象が変性した酵素のリフォルディングに及ぼす影響および膜分離プロセスの特性に及ぼす影響について次の実験的検討を行った。 1.変性リゾチームの撹拌槽によるリフォルディング 産業規模での実施を考慮し,撹拌槽を用いて,塩酸グアニジンで変性させたリゾチームを含む液を,所定の速度で撹拌しながらリフォルディングを行った。その結果,試験管規模でのリフォルディングより再活性化開始に長時間を要し,最終再活性化収率も低いことがわかった。また物理的な操作因子がリフォルディング過程に大きな影響を及ぼすことがわかり,工学的検討の必要性を提示できた。(化学工学会姫路大会 1992年7月にて発表) 2.各種添加物のタンパク質の限外ろ過性能に及ぼす影響。 電解質や分子量の類似した多糖類との混合物であるタンパク質水溶液のろ過特性をデッドエンド式限外ろ濾過器で検討した。共存電解質濃度のろ過特性に及ぼす影響と,濃縮後の溶液を希釈しながらろ過を続ける半回分操作特性との比較から,高分子の種類による凝集の程度と可逆性について考察した。その結果をもとに,試料として用いたパパインとデキストランの分離を試みたところ,両者は分子量が類似しているにもかかわらず分離が可能であることがわかった。(化学工学会第58年会 1993年3月にて発表)
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