1992 Fiscal Year Annual Research Report
固定化培養による微生物菌体の触媒活性増強法に関する研究
Project/Area Number |
04650872
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石川 治男 大阪府立大学, 工学部, 教授 (00081349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 博康 大阪府立大学, 工学部, 助手 (80233443)
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Keywords | 糸状菌 / Rhizopus chinensis / 固定化培養 / 固定化微生物菌体 / リパーゼ / エステル交換反応 / エステル加水分解反応 / 多孔性担体 |
Research Abstract |
微生物箘体、動物・植物細胞および酵素のいわゆる生体触媒を工業的に利用するには、それ自体の活性と安定性の高い生体触媒を固定化などを施して、繰り返し利用可能な形態にしておく必要がある。本研究は、活性の高い微生物箘体を得る操作と箘体の固定化操作を同時に行い、工業的に利用しやすい固定化微生物を得る新しい方法の開発を目的とした。箘の生理活性の指標として、糸状箘により生産されるリパーゼの活性を取り上げ、リパーゼ活性の発現と培養条件の関係や培養法と活性の違いなどについて検討した。成果の概要は以下の通りである。(1)Rh.chinensisを懸濁培養法とウレタン製の多孔性坦体粒子を用いた固定化培養法により増殖させ、箘体量、総タンパク質量およびリパーゼ活性の経時変化を測定したところ、培養5日後に箘体量、箘体外の総タンパク質量および箘体外酵素のエステル加水分解反応活性、箘体内酵素のエステル交換反応活性ともほぼ定常に達することがわかった。また、培養液のpHやオリーブオイル、レシチン、グルコースおよびポリペプトンの濃度を変化させると、箘体外酵素のエステル加水分解反応活性に違いが見られ、培養液の最適組成が得られた。(2)固定化培養法で増殖した箘の増殖状態を調べるために多孔性坦体粒子の断面を観察したところ、箘は坦体粒子の表面領域にのみ存在し、内部には存在しないことが明らかになった。(3)懸濁培養法と固定化培養法で5日間培養した培養上清および凍結乾燥した箘体に含まれるリパーゼのエステル加水分解反応活性を調べたところ、箘体の加水分解反応活性は懸濁培養した場合と固定化培養した場合とではあまり違わなかったが、懸濁培養した場合の培養上清の加水分解反応活性は固定化培養した場合に比べて2.8倍であった。また、固定化培養時の箘体のエステル交換反応活性は懸濁培養時に比べて15培であった。
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