1993 Fiscal Year Annual Research Report
抽出・晶析分離を伴う生理活性ペプチドの酵素合成における素過程の解析
Project/Area Number |
04650873
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Research Institution | WASEDA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平田 彰 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00063610)
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Keywords | 抽出 / 晶析 / 酵素合成 / 生理活性ペプチド / アスパルテーム前駆体 |
Research Abstract |
本研究では,ペプチドの酵素合成反応に抽出・晶析による生成物分離を組み込んだ系をとりあげ,酵素反応-抽出・晶析分離操作での素過程を解析し,生理活性ペプチド合成のための高効率攪拌槽型リアクターの設計・操作の基礎を確立することを目的とした研究を行った。本操作法では,予めリアクターに遊離酵素水溶液を仕込み,有機溶媒から原料基質を供給し,水相中で生成したペプチドを有機溶媒中に抽出・晶析分離することにより回収し,連続合成を行う。本連続合成法によると,遊離酵素を連続利用できるなど,効率的に連続合成を行うことが可能であるが,有機溶媒中から酵素水溶液中への原料基質の抽出,酵素水溶液中における酵素合成反応,酵素水溶液中から有機溶媒中への生成物の抽出,有機溶媒中での生成物の晶析が同時に進行するため,リアクターの設計・操作のためにはこれら素過程の解析が重要となる。これらの素過程を考慮し,定常時における各相中の各成分の濃度,転化率,生産性に及ぼす諸操作因子の影響を検討した結果,カルボキシル基質の有機溶媒中から酵素水溶液中への抽出が律速過程であり,この抽出効率,すなわち容量係数が転化率に直接影響することが明らかとなり,攪拌速度を高める,あるいは滞留時間を大きくすることにより容易に100%に近い転化率が得られることが明らかとなった。また,多量に生成物の結晶がリアクター内に滞留する場合においては,容量係数が晶析を伴わない系に比べて低下することが明らかとなったが、これは疎水性の高い結晶により有機溶媒の分散が抑制されたためであると考えられた。本操作法は,各種ジペプチド酵素合成系において有効であり,アスパルテーム前駆体の様なエステルに比べ,より有機溶媒に抽出されにくいペプチドアミドなどにおいても,定常的に操作を行うことにより,高転化率・高生産性を維持したまま連続合成することが可能であることが明らかとなった。
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[Publications] Makoto Hirata: "Solubility of N-(Benzyloxycarbonyl)-L-Aspartyl-L-Phenylalanine Methyl Ester Forming a Complex with L-Phenylalanine Methyl Ester in Aqueous System" Journal of chemical Engineering of Japan. 27. 72-76 (1994)
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[Publications] Makoto Hirata: "Dissociation Constants of the Components in the Enzymatic Synthesis of Aspartame Precursor" Journal of chemical Engineering of Japan. 27. 77-78 (1994)