1992 Fiscal Year Annual Research Report
培養動物細胞における導入遺伝子の発現効率を上昇させる方法の開発
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04650877
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 斉 岡山大学, 工学部, 教授 (70116440)
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Keywords | 動物細胞株 / 安定発現 / 遺伝子導入 / mRNA / ノーザンブロット / β-ガラクトシダーゼ / タンパク合成 / 熱ショック |
Research Abstract |
培養動物細胞において、導入した遺伝子産物を効率よく発現させる技術は遺伝子組換え産物を効率よく生産するという観点から極めて重要である。この目的のために我々は、ある遺伝子群の発現が誘導されると考えられる種々の処理を細胞に施すことにより、導入遺伝子の発現が促進されることを期待して研究を開始し、以下の結果を得ている。 1.遺伝子導入後、細胞を42℃で熱処理することにより、導入された遺伝子の一過性発現が顕著に上昇することを発見した。この現象は細胞や遺伝子の種類によらず、遺伝子導入法にも依存しなかった。また異なる複数のプロモーターにおいて同様な傾向が認められた。しかし、熱ショックによっては遺伝子の安定発現を上昇させることはできなかった。 2.遺伝子を導入後、5-アザシチヂン(5‐azaC)で処理することにより一過性発現のみならず安定発現も顕著に上昇することを見いだした。大腸菌β-ガラクトシダーゼ(β-gal)遺伝子lacZを安定に発現するCHO-K1細胞やNS-1細胞を樹立しこれらを5-azaC存在下で一定時間培養するとβ-galの全酵素活性及び比活性のいずれも3-4倍上昇することが見いだされた。このような酵素活性の上昇は酵素タンパクの増加によることを免疫沈降法により確認し、lacZ mRNA量が増加していることも確認した。内在性遺伝子産物である乳酸デヒドロゲナーゼやβ-アクチンの発現は変化なく、5-azaCの効果が外来性遺伝子に限られたものであることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Toshiyuki Takai: "Enhancement of DNA transfection efficiency by heat treatment of cultured mammalian cells." Biochim.Biophys.Acta. 1129. 161-165 (1992)
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[Publications] Hitoshi Ohmori: "DNA transfection enhanced by heat" Rice Biotechnology Quartery. 11. 24- (1992)
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[Publications] Takahiro Tanogawa: "Enhancement of expression of introduced gene by 5-azacytidine in mammalian cell lines." J.Fermt.Bioeng.(1993)
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[Publications] 大森 斉: "細胞工学" 講談社サイエンテイフイク, 186 (1992)