1993 Fiscal Year Annual Research Report
培養動物細胞における導入遺伝子の発現効率を上昇させる方法の開発
Project/Area Number |
04650877
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 斉 岡山大学, 工学部, 教授 (70116440)
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Keywords | 動物細胞 / 遺伝子導入 / 熱ショック / 5-アザシチジン / 一過性遺伝子発現 / 安定形質転換 / β-ガラクトシダーゼ / プラスミド |
Research Abstract |
培養哺乳動物細胞に外来性の遺伝子を導入し、効率良く発現させる技術は、遺伝子クローニングや単離された遺伝子の機能を調べる方法としてのみならず、遺伝子治療法の開発や動物細胞を用いた有用物質生産のための重要な技術である。申請者らは最近、DEAE-dextran法に浸透圧ショックを併用することにより、比較的遺伝子導入が困難とされているリンパ系細胞にもプラスミドDNAを効率良く導入し、発現させる方法の開発に成功した。今回申請した研究の目的は、これまでの申請者らの成果を更に発展させ、哺乳動物細胞への外来性遺伝子導入、一過性発現、および安定発現の効率を飛躍的に高める新しい技術を開発することにある。2年間の研究の結果以下のような成果が得られている。 1)大腸菌β-galactosidase遺伝子を動物細胞(NS-1,CHOなど)に導入後、安定に導入遺伝子を発現している動物細胞株を樹立した。これらの細胞における遺伝子の安定発現を促進させる手段を検討し、5-azacytidineを作用させると、β-galactosidaseの活性が顕著に上昇することを見いだした。この酵素活性の増加はタンパク量の増加、mRNAレベルの上昇を伴っていた。このとき、内因性の遺伝子(β-actin,LDH)の発現は変動しなかったので、5-azacytidineの効果は導入遺伝子にかなり特異的であると思われる。 2)同様な、導入遺伝子の発現上昇は2-aminopurineで処理することによっても得られた。この場合も、その作用は、転写レベルで認められ、外来遺伝子に対し特異的であった。これらの処理法は導入した遺伝子の産物を効率よく生産するための手段として有用と考えられる。
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