1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660012
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
幸田 泰則 北海道大学, 農学部, 助教授 (20002355)
|
Keywords | ジャスモン酸 / 塊茎形成 / 細胞肥大 / バレイショ / キクイモ |
Research Abstract |
1. キクイモの塊茎形成におけるジャスモン酸(JA)の関与について検討した。まずバレイショ塊茎形成活性の検定に用いたバレイショ茎断片培養法により、キクイモ葉中に含まれるJA関連化合物の検索を行なった。得られた活性物質を高速液体クロマトグラフィー、質量分析及びNMR分析に供した結果、JAとそのメチルエステル(JA-Me)、及びグルコシルチュベロン酸メチルエステル(Glc-TA-Me)の3種の存在が確認された。次に、キクイモ植物体の生育に伴うこれら3種の物質の葉中の含量の変動を調べた。JAの含量は生育初期において最も高く(540ng/g生重、2.5x10^<-6>M)、その後生育に伴い減少を示した。これに対し水溶性であるGlc-TA-Meは、生育に伴い増加し塊茎形成開始期付近で最大となった。JA-Meは後者と似た変動を示したが、その含量は低く最大でも120ng/g生重であった。キクイモの茎断片にJAを与えて培養したところ、10^<-6>M以上で塊茎が形成された。以上の結果から、キクイモの塊茎形成にもJA関連化合物が関与していることが明かとなった。葉で生成したJAは、水溶性であるGlc-TA-Meに変化してキクイモ体内を移行し、地下部における塊茎形成を引き起こすものと考えられる。 2. JAの塊茎形成活性は、JAが細胞肥大を引き起こすことに起因すると思われる。そこでバレイショ塊茎組織にJAを与えて培養したところ、著しい細胞肥大が観察された。この肥大は細胞内浸透圧の増加、あるいは細胞壁の緩みによるものと思われる。そこでまず、4年度の購入機器であるガスクロマトグラフを用いて、可溶性糖類を調べた結果、ジャスモン酸投与により、細胞内のショ糖濃度が増加することが判明した。JAが細胞壁構成成分に及ぼす影響については現在究明中である。
|