1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 順子 東京大学, 農学部, 助教授 (60191219)
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Keywords | ダイズ / 子実 / 呼吸速度 / 光合成速度 / 物質蓄積 |
Research Abstract |
圃場におけるダイズ莢実の呼吸速度は、おもに温度条件によって決まっていることを既に明らかにした。そこで、圃場条件下における莢温度の生育期間を通した継続測定、および、ポット栽培したダイズ莢実を用いた一定温度下における呼吸速度とその温度反応の測定を行い、圃場条件における登熟期間を通した呼吸の見積りを行なった。ダイズ2品種(コガネダイズ、エンレイ)とも莢の伸長が停止し、子実の生長が開始したと思われる開花後19日目より、莢温度の測定を開始した。実験室内で求めた25℃における莢実の単位乾物重あたり呼吸速度は、生育に伴って指数関数的に低下し、莢実が茶化し始めるまで続き、その後急に検知できないほどに低下した。呼吸速度の温度反応(Q_<10>)は生育時期によって異なることが予想されていたが、測定点数を増やした結果、登熟期間を通してほぼ一定の値をとり、また、莢と子実のQ_<10>の値はほぼ同じであることが明かとなった。以上のデータと、圃場における莢実重の推移とを用いて、25℃における1莢あたりの呼吸速度の推移、圃場条件下の莢温度における呼吸速度の推移の見積りを行なった。その結果、コガネダイズ・エンレイ両品種において、25℃における1莢あたりの呼吸速度は測定開始後1週間以内に一定値に達し、その後、茶化開始までは若干低下するもののほぼ一定の値となった。圃場条件下の莢温度における呼吸速度を積算し、莢実の登熟期間を通した総呼吸量を求め、生長効率を計算した結果、生長効率はコガネダイズで65.1%、エンレイで66.7%であった。 当該年度夏季の気象条件は、例年とはかなり異なり、生育・登熟の遅延がみられたが、一昨年と比較すると、粒数は減少したものの、一粒重はかなり増加しており、このことは貯蔵物質の蓄積過程にも差異があることを示唆している。現在2年間の物質蓄積に関して比較を行なっている。
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