1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 順子 東京大学, 農学部, 助教授 (60191219)
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Keywords | ダイズ / 子実 / 莢 / デンプン / 糖 / 呼吸速度 |
Research Abstract |
莢実の呼吸速度(CO_2放出速度)に関しては,再試を行った.その結果,呼吸速度の温度反応(Q_<10>)は生育期間を通してほぼ一定であること,Q_<10>は葉身あるいは個体で得られた多くの報告のある2よりもやや低く,1.8程度であること,そして,莢と子実において差異がないことが明かとなった.また,以下に述べる貯蔵物質蓄積が,完全に終了する時期まで呼吸活性は高く維持されること,莢実が茶化開始すると直ちに検知できなくなることが確認された. 莢実中の貯蔵物質である油脂とタンパク質の蓄積は,乾物の蓄積とほぼ同様な傾向を示し,子実の直線成長開始と同時に急激に増加し,直線的に増加した後,莢実の黄化開始後数日間経過後に停止した.貯蔵物質蓄積停止は莢の黄化開始後であることから,これらの物質蓄積停止は,莢の成長停止を規定しているわけではないと考えられた.貯蔵物質を合成するための,いわば材料である糖・デンプンおよび無機・アミノ酸態窒素含量の生育にともなう変動を子実と莢にわけて調べた.その結果,特に糖含量の変動に大きな年次間差異が認められ,黄化開始期においても必ずしも糖含量が低いわけではなく,大量の余剰が認められる場合があった.また,糖が余剰に存在する場合においても,デンプンの分解が既に登熟中期に始まっていることも確認された.このことは,糖含量は必ずしも子実の成長停止に関与しないが,デンプンの分散は成長停止に何らかの関わりを持つことを示唆している.また,無機・アミノ酸態窒素に関しては,子実中のプールサイズは非常に小さいことから,莢中の含量が子実内のタンパク合成・代謝に影響すると考えられた.莢中の含量は生育に伴って減少するが,減少程度に年次間差異がみられ,現象が遅い場合には黄化が遅れることが明かとなった.以上より,子実の成長速度には年次間差異は認められないこと,成長停止時期にみられる年次間差異にはデンプンの分解と莢中の無機・アミノ酸態窒素プールの大きさが関与していることが示唆された.
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