1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 博 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60134798)
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Keywords | 機能分化 / 光合成 / C_4植物 / 組織分化 / 免疫組織化学 / 免疫電子顕微鏡 / 葉緑体 |
Research Abstract |
NADP-ME型C_4植物のうち、多肉質で複雑な組織体制を持つマツバボタンを中心に、諸細胞の葉緑体分化とRubiscoの蓄積の関係を、金コロイド免疫電子顕微鏡法で観察した。その結果、葉の中心部の維管束は貯水細胞に取り囲まれ、明確なKranz構造を示さないにも関わらず、維管束のすぐ外側の貯水細胞の葉緑体ではグラナ形成の抑制とRubiscoの蓄積が起こり、維管束鞘葉緑体としての構造的・機能的分化が起こっているのに対し、二層目以降の貯水細胞の葉緑体ではグラナの形成とRubiscoの蓄積抑制が起こり、葉肉葉緑体的な構造的・機能的分化を遂げていることが明らかになった。従って,C_4植物組織における構造と機能の分化には、維管束が重要な役割を果たしていることが明らかになった。 マツバボタンの緑色カルスと再分化過程のカルスについて、葉緑体構造とRubiscoの蓄積を観察したところ、カルスでは維管束に隣接する細胞でも葉緑体のグラナ形成が認められたが、再分化した茎葉では、維管束に隣接する細胞の葉緑体でのグラナ形成の抑制が観察された。一方Rubiscoの蓄積は、量的には少ないもののカルスおよび再分化した茎葉において、全ての葉緑体で認められ、葉肉葉緑体におけるRubiscoの蓄積抑制は明確ではなかった。そこで植物体を無菌的に、ホルモンを含まない培地に移植し、カルス培養と同様の条件下で継代培養したところ、葉肉葉緑体にもRubiscoの蓄積が認められるようになった。従って、弱光条件あるいは従属栄養的な条件が、葉肉葉緑体へのRubiscoの蓄積をもたらすと考えられた。 以上の結果より、C_4植物組織における構造と機能の分化には、維管束が重要な役割を果たすが、カルスでは維管束からの制御が機能しないこと、光条件あるいは栄養条件が機能の分化に影響を及ぼすことが明らかになった。
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[Publications] Brisibe,E.A.: "Regulation of somatic embryogenesis in long-term callus cultures of sugarcane (Saccharum officinarum L.)." New Phytologist. 126. 301-307 (1994)
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[Publications] Brisibe,E.A.: "Abscisic acid and high osmoticum regulation of development and storage reserve accumulation in sugarcane somatic embryos." Japanese Journal of Crop Science. 63. 689-698 (1994)
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[Publications] Phansiri,S.: "Effects of electro-and chemical fusion treatment on cell wall formation and cell division of plant protoplasts." Japanese Journal of Crop Science. 63. 706-713 (1994)
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[Publications] Sato,T.: "Evaluation of preparation methods for scanning electron microscopic observation of plant protoplasts." Japanese Journal of Crop Science. 64(印刷中). (1995)
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[Publications] Phansiri,S.: "Incorporation of fluorescent dextrans and Lucifer Yellow into plant protoplasts by electro treatments." Cytobios.(印刷中).
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[Publications] 岡崎正規: "植物保護ハンドブック" 朝倉書店 (印刷中),