1993 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素による植物バーナリゼーションの調節機構の解明
Project/Area Number |
04660022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉岡 俊人 東北大学, 農学部, 助手 (10240243)
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Keywords | バーナリゼーション / 二酸化炭素 / 開花制御 / 生活史進化 / 環境生理学 |
Research Abstract |
平成5年度では,『外与条件がCO_2の種子バーナリゼーション調節に及ぼす影響』について検討を行った。すなわち,前年度研究において確立された,ダイコン種子バーナリゼーションの実験系を用い,CO_2処理中にホルモン類及びそれらの阻害剤を与えた。CO_2による種子バーナリゼーション抑制は,C_2H_4作用の阻害剤として知られる2,5-ノルボルナジエン(NBD)の添加によって顕著に増大した。しかし,C_2H_4の生合成阻害剤であるアミノエトキシビニルグリシン及びC_2H_4の添加はCO_2の効果に影響を及ぼさなかったことから,CO_2とNBDの相乗作用はC_2H_4の作用とは独立なものであると考えられた。また,ジベレリンの生合成阻害剤であるウニコナゾールの施用によってCO_2のバーナリゼーション抑制効果が増大された。NBD及びウニコナゾールの作用はスペシフィックなものではなく,CO_2の作用が,NBDでは低温処理中,ウニコナゾールでは低温処理後に関与するバーナリゼーション抑制効果によって増幅されて発現したものと考えられる。しかし,CO_2とNBDの作用の場合,非低温処理コントロールの約8割強に達するバーナリゼーション抑制の効果があるので,蔬菜苗の低温貯蔵に伴うバーナリゼーション進行を,取扱面での利便性の高いガス環境の調節によって制御しうることが予想される。その技術開発のために,さらに本課題の継続研究が必要である。
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