1993 Fiscal Year Annual Research Report
わが国における都市レクリエーション空間の在り方に関する研究
Project/Area Number |
04660024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下村 彰男 東京大学, 農学部, 助教授 (20187488)
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Keywords | レクリエーション空間 / レクリエーション活動 / 都市レクリエーション / 盛り場 / 遊園地 / 博覧会 / 複合性 |
Research Abstract |
本研究は、わが国において真に楽しめる都市レクリエーションの活動形態の特質と、それを支える都市レクリエーション空間の在り方を明かにすることを目的とする。2年目に当たる今年度は、遊園地、博覧会、盛り場の代表としての浅草公園の3者を対象に、近代、特に明治から昭和初期における都市型レクリエーション空間や活動の変遷のプロセスとその特徴について調査を行った。注目すべき内容として、下記の点が特記される。 1.レクリエーション空間の変遷 ・盛り場:明治維新前後は仮説小屋における見世物や道端の大道芸が中心であったが、明治後期になって徐々に常設建築に近代設備が結びついた空間へと変質していった。 ・遊園地:料亭と庭園による空間が、盛り場や博覧会の影響の下に、種々の楽しみが同居する空間へと変貌する。大正後期以降、私鉄によるより楽しみに特化した郊外型の遊園地が成立する。 ・博覧会:事物を秩序立てて見せるという博覧の経験を与える空間を提供すると同時に、明治中期以降、新しい遊びの感覚を積極的に生産する遊技機械がパイロット的に出現した。 2.レクリエーション活動の変遷(娯楽形態の変遷) ・興行・装置の分析を通し、6タイプ、16種類の娯楽形態を抽出した。 ・近代以降の娯楽形態は、「娯楽装置」の点では単純なものからより高度化してゆく傾向にあり、「楽しみ方」の面では複合的なものからより分化する傾向にあることが明らかとなった。この(単純+複合)から(高度+単一)へのベクトルは、参加型で主体的に楽しむ娯楽から受動的な娯楽への変化とみることができる。
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