1992 Fiscal Year Annual Research Report
高温耐性変異体利用によるシンビジウムの花飛び現象の研究
Project/Area Number |
04660026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 始 名古屋大学, 農学部, 助手 (20126840)
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Keywords | シンビジウム / 高温耐性変異体 / 花飛び現象 / 花粉形成 / アブシジン酸 |
Research Abstract |
ルビーアイズ‘ゴールデンスター'という品種のメリクローン変異体として発見された高温耐性変異体の耐性確認を通じて、耐性を有しない系統の混入が明らかとなった。これらの系統はノーマルタイプへの復帰突然変異体である可能性もあり、比較研究の有力な材料となることが期待される。反面、前年度に行った株分け繁殖の影響もあって、花芽をつける耐性変異体が減少し、実験材料が不充分となり、耐性変異体を用いた研究は縮小せざるをえなかった。 こういう状況のもとで、根端細胞の観察から、耐性変異が染色体数の増減にはよらないことが示された。また、耐性変異体では花粉形成が異常になるにもかかわらず、高温耐性を示すことが見いだされ、花粉形成の異常と花飛び現象とを結び付ける従来の考え方は再検討が必要となった。 一方、高温耐性を有しない品種であるサザナミ‘ハルノウミ'では、植物ホルモンの一種であるアブシジン酸の含量が高温で非常に高まることが見いだされた。また、天然型アブシジン酸処理により花飛び現象が誘起されることも示され、高温耐性変異体におけるアブシジン酸の消長が注目される。この点については次年度に明らかにする予定である。 なお、耐性変異体における呼吸の変化については、材料の制約から今年度は実施できなかった。
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