1993 Fiscal Year Annual Research Report
黎明期における近代造園・園芸に関する情報とその受容
Project/Area Number |
04660029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 宏 京都大学, 農学部, 助手 (30157416)
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Keywords | 園芸 / 園芸新聞 / 日本園芸雑誌 / 牧野文庫 / 蓬左文庫 / 岩瀬文庫 / 林脩己文庫 |
Research Abstract |
本年度は平成4年度に引き続き、江戸期から明治期に出版された園芸書、造園書の所蔵状況の調査を行った。 調査機関は高知市立牧野植物園にある牧野富太郎旧蔵の牧野文庫、名古屋市東山植物園蔵の伊藤圭介文庫、名古屋市蓬左文庫、西尾市岩瀬文庫、東京市市政資料室専門図書室、成田市仏教図書館、国立国会図書館、国立公文書館、京都府立総合資料館において調査した。牧野文庫では未見であった朝顔関係の雑誌、『一六会報』『奇蕣会雑誌』を確認し、さらに新たに明治38年創刊の『園芸新聞』(月刊)の存在を知った。なお、横浜植木会社の定価表(明治42年度)等いくつかの園芸業界誌の確認もできた。蓬左文庫では特に天保11年(1840)出版された『藩籬譜』は300種の垣根の図集で現在では見られなくなった当時の職人の創意工夫がわかる資料として貴重である。岩瀬文庫では『花旗国種子目録』という幕末の文久使節団が持ち帰った外国産の種子目録があり、これも貴重な文献である。成田仏教図書館蔵の林文庫には元松戸高等園芸学校(現千葉大学園芸学部)の教授であった林脩己が明治37、38年、東京市から公園調査の委嘱をされロンドンで収集した洋書が所蔵されていた。明治36年に日比谷公園が開園して程なく、東京市は今後の公園行政の資料収集をしていたことは新たな知見である。特に、当時のロンドン行政側の資料が含まれており興味深い。(例えば、London County Council:Parks and Open Space.Regulation Affecting the Stuffs,Instruction to Officers,&c.,1903) なお、上記各地の文庫調査とともに中央における園芸の動向を知るために明治22年創刊にかかる『日本園芸会雑誌』の彙報覧等から海外園芸情報の記述を調査継続中である。
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