1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 肇 神戸大学, 農学部, 教授 (60221181)
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Keywords | コムギいもち病 / 病原性 / 宿主範囲 / 交配能 / Magnaporthe grisae |
Research Abstract |
現在、ブラジルにおいてコムギにいもち病が大発生し問題となっている。当初、裁培中のイネに寄生しているいもち病菌が宿主範囲を拡げたものと判断したが、検討の結果、本コムギ菌はイネに病原性を保持せず寄生性分化を異にする系統であることが判明した。大陸規模で新しい宿主に未知の系統による疾病の流行をみることは稀であり、寄生性分化研究のための好材料を得たことになる。本年度の検討結果は以下のとおりである。 1.7〜8月にブラジルのコムギいもち病発生地帯を巡回調査し、研究材料を収集した。全面的に穂いもちが発生しており、特に品種Ana-huacでの発生が多い。葉身・葉鞘にも病斑は認められるが極めて小型である。 2.平成4年以前に各地から送付を受けた羅病穂からの分離菌株14はいずれも日本イネ判別品種11,ブラジル産陸稲3,水稲4,野生稲2に病原性はなく、イネ菌とは別系統と判断された。 3.イネ科植物42種に対する病原性はシコクビエ菌のそれに類似した。 4.ブラジル産イネ菌の中にはコムギ幼菌および穂に病原性のある菌株が存在したことから、イネ菌による発病がある可能性はある。 5.コムギ菌には交配型A,aが存在し、交配能は大きかった。 6.コムギ菌はブラジル産イネ菌,センクルス菌,セタリア菌,エキノクロア菌とは交配不能であり、ブラキアリア菌,アワ菌と交配可能である。
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[Publications] 加藤 肇: "いもち病菌の寄生性分化に関する研究 2.いもち病菌の小分生子形成" 日本植物病理学会報. 58. 557- (1992)
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[Publications] 岩本 豊: "いもち病菌の寄生性分化に関する研究 3.日本産アワ菌の交配能,宿主範囲,核分裂" 日本植物病理学会報. 58. 557- (1992)
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[Publications] アルフレド.S.ウラシマ: "いもち病菌の寄生性分化に関する研究 4.ブラジル産コムギ菌,イネ菌の交配能,宿主範囲" 日本植物病理学会報. 58. 557- (1992)