1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660053
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Research Institution | Department of Agriculture, Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 肇 神戸大学, 農学部, 教授 (60221181)
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Keywords | コムギいもち病 / 寄生性分化 / 宿主範囲 / 交配能 / 交配型 / 抵抗性 / Magnapor the grisea |
Research Abstract |
申請者らの研究により、シコクビエ寄生性のいもち病菌はイネを侵害できず、従ってイネ菌とは生息の場を異にしてきたにもかかわらず、イネ菌と交配が可能で有性生殖器官を形成することが明らかとなった。ところが、最近ブラジルにおいてコムギにいもち病が大発生し、当初栽培中のイネ寄生性のいもち病菌が宿主範囲を拡げたものと推定したが、検討の結果、本コムギ菌はイネ菌とは系統を異にすることが明らかになり、系統分化研究の好適材料と考えられるに至った。 本年度は次のような結果を得た。 1.宿主範囲について イネ科植物9属42種を用いて、平成4年度各地より収集した本菌を加え51菌株の人工接種により宿主範囲を明らかにした。Hordeae、Festuceae、Aveneaeの14種に病原性を示した。全コムギ菌株はイネには病原性がなかった。本菌がイネから宿主転換をしたという推論に対して否定的な結果を得た。 2.子のう胞子形成過程における染色体、核の行動について コムギ菌相互およびコムギ菌xシコクビエ菌の交配時に遅滞染色体の発現はきわめて稀であり、コムギ菌相互の交配が有効であると同時に、コムギ菌とシコクビエ菌の類縁性が高いことが証明された。 3.コムギの抵抗性品種について コムギ菌により、各国育成コムギ品種の抵抗性を検定した。ブラジルの品種26(Iapar系11、Ocepar系9、他の栽培品種6)、日本品種2、ブルガリア品種2および育成中の系統5、アメリカ品種1、計36を用いたところ、ブラジル栽培品種BH1146およびアメリカSteplensが1菌株に対し抵抗性を示した以外は、いずれも罹病性であり、raceの存在が明らかになった。 Aゲノムを有するTriticum urartaなど3種、ABゲノムを有するT.dicoccumなど4種はいずれも罹病性であった。 さらに、祖先型のAegilopsについても検定し、MゲノムをもつAe.holdereichi,Ae.rmiaristata、SゲノムをもつAe.bicornis、Ae.longissimaは罹病性であったが、DゲノムをもつAe.squarrosa、CゲノムをもつAe.umbellulataに抵抗性の系統があった。
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[Publications] URASHIMA,A.S. ら: "Hostrange,Mating type,and Fertility of Pyricularia grisea from wheet in Brazil" Plant Disease. 77. 1211-1216 (1993)