1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660054
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
白石 友紀 岡山大学, 農学部, 教授 (10033268)
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Keywords | 宿主特異性決定機構 / サプレッサー / エリシター / 防御反応 / ATPase / ポリフォスフォイノシチド代謝 / 原形質膜 / クロストーク |
Research Abstract |
サプレッサーの第一次作用点の解析を行うにあたり、先ず原形質膜機能に及ぼす影響について解析を試みた結果、サプレッサーは原形質膜ATP‐ase活性をin vivo・in vitro共に阻害することが判明した。典型的なP型ATPase阻害剤であるオルソバナジン酸をモデルにエンドウ抵抗性発現とATPaseの関連を調べた結果、本剤はサプレッサーと同様にエンドウの抵抗反応を遺伝子発現レベルから遅延させる効果を示した。次に、エンドウとその病原菌、褐紋病菌の生産するエリシター及びサプレッサーを用いて病害防御機構に関わる初期情報伝達系を検索した結果、原形質膜に存在するポリホスホイノシチド(PI)代謝系の重要性が明らかとなった。上胚軸組織を^<32>P正リン酸でラベルした後、エリシターで処理したところ、処理数秒後には、^<32>P-PIP、また15秒後にはIP_3の一過的上昇が認められたが、サプレッサーの共存下にはこのような変動は認められなかった。さらに、エンドウ原形質膜画分を調製し0℃でエリシター及びサプレッサーを与えて〔γ-^<32>P〕ATPからPIP及びPIP_2への取込みを調べたところ、エリシター処理5秒以内に両分子への^<32>Pの取込みは増加したが、サプレッサー共存下では顕著に抑制された。また、エンドウファイトアレキシンであるピサチン蓄積を抑制するバナジン酸、K252a、ネオマイシンもPIPのリン酸化を阻害した。そこで、原形質膜ATPaseとPI代謝系の関連について調べた。PI代謝系の一産物であるPIP_2を原形質膜画分に添加するとATPase活性が約2倍に上昇した。一方、ネオマイシンの添加ではATPase活性は阻害された。これらの結果は、原形質膜APTase活性がPI代謝によって制御されることを示している。実際、エリシター処理でATPase活性が上昇する結果が得られている。しかしながら、P型ATPaseの阻害剤であるバナジン酸によって原形質膜PI代謝系が阻害されることから、両酵素はクロストークしているものと推察した。
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[Publications] Nasu,K: "An endogenous suppressoe of the defense response in Pisum sativum" Plant Cell Physiol.33. 617-626 (1992)
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[Publications] Shiraishi,T: "Two suppressors, Supprescin A and B,seoetad by a pea pathogen, Mycosphaerella pinodal" Plant Call physiol.33. 663-667 (1992)
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[Publications] Toyoda,K.: "Regulation of poly phosphoinositide metabolism in pea plasma membranes by elicitor and suppresson" Plant Cell Physiol.33. 445-452 (1992)
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[Publications] Yoshioka,H: "Suppressinon of the activation of chitinase and B-1,3-glucanaso in pea apicotyls" An, Phytopath. Soc. Japan. 58. 405-410 (1992)
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[Publications] 白石 友紀: "植物の感染防御機構" バイオサイエンスとインダストリー. 50. 1103-1109 (1992)
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[Publications] 白石 友紀: "宿主特異性とサプレッサー" 植物細胞工学. 5. 16-22 (1993)
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[Publications] 白石 友紀: "脇本 哲 監修 植物微生物学研究法" ソフトサイエンス社, (1993)