1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 東京大学, 農学部, 助手 (20202111)
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Keywords | 家蚕 / カイコ / 前胸腺 / 休眼 / ホルモン / 神経ペプチド / 連関分析 / 変態 |
Research Abstract |
家蚕の発育・変態を支配する重要な遺伝子である前胸腺刺激ホルモン遺伝子と休眼ホルモン-PBAN遺伝子の二つについて,多型を発見し遺伝子の連関地図上での座位を調べた。(1)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用し、前胸腺刺激ホルモン遺伝子Ptthの変異を探索した結果,第3・第4イントロンの長さに変異を発見し,Ptth^A,Ptth^B,Ptth^Cと名付けた。Ptth^Cは他よりも第3イントロンが約400塩基対ほど長く,Ptth^Bは第4イントロンが約150塩基対ほど長かった。Ptth^Cをもつw41系統にPtth^Aをもつw22系統を戻し交雑し,分離を調査した結果,Ptthが第22連関群の2.7に占座することをつきとめた。第22連関群には,PTTHの機能と関連する遺伝子はまだマップされていない。したがって,不眼蚕をはじめとする既知の発育異常突然変異は,PTTH遺伝子そのものの変異ではないことになる。(2)PTTH遺伝子と同様に休眼ホルモン-PABN遺伝子(Dh)の多型性をPCRによって検討した。その結果,第4イントロンには長さの変異があり,第5イントロンには長さの変異と制限酵素切断点の変異とがあった。Dh^Bは第5イントロンのRsaI切断点を一ヶ所欠き,Dh^Cは第4イントロンが数10塩基対,第5イントロンが約800塩基対他よりも長かった。Dh^Aをもつ東大E^<Kp> os-e q系統,Dh^Bをもつ蚕糸昆虫研No.912系統およびDh^Cをもつ九大w30系統を使って交配実験を行った結果,(No.912×w30)×w30の交配実験区において,Dhがw30が保有する黒蛹形質と連関関係にあることを認めた。調査した10数系統のうちw30系統と埼玉県産クワコだけがDh^Cをもち,その2系統だけが黒蛹を発現することから,w30系統のDh^Cは,クワコから,黒蛹の遺伝子と連関たまま導入されたと推定することができる。また,クワコの黒蛹は第11連関群所属のbp遺伝子によることが分かっているので,Dhも第11連関群に所属する可能性が大きい。
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[Publications] Toru Shimada: "Distribution of split 5.8S ribosomal RNA in Diptera." Insect Molecular Biology. 1(1). 45-48 (1992)
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[Publications] 嶋田 透・小林 淳・宮田 保・永田 昌男・小林 正彦: "ヤママユガ科・カイコガ科のアリルフォリンの免疫拡散法による比較。" 日本応用動物昆虫学会誌. 36(2). 119-126 (1992)
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[Publications] 胡 衛軍・嶋田 透・小林 正彦: "蚕の発育ステージによる絹糸腺セリシンの電気泳動像の変化" 日本蚕糸学雑誌. 61(3). 236-240 (1992)
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[Publications] Toru Shimada and Masahiko Kobayashi: "Homeotic transformation in E^<NK> mutant cells is not affected by neighboring normal cells in genetic mosaics of the silkworm,Bombyx mori." Journal of Sericultural Science of Japan. 61(5). 444-450 (1992)