1992 Fiscal Year Annual Research Report
高CO_2濃度下におけるC_3型植物の光合成の制御と適応
Project/Area Number |
04660064
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 周 東北大学, 農学部, 助手 (70181617)
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Keywords | ガス交換 / 光合成 / 高CO_2濃度 / 窒素栄養 / 適応 / C_3型植物 / Rubisco |
Research Abstract |
イネ,コムギおよびエンドウを材料に35Paと70PaのCO_2濃度の栽培区をつくり,両CO_2濃度区にそれぞれ窒素濃度を変えた区をつくり水耕栽培し,高CO_2(70PaCO_2)区に適応した植物の光合成の特性を明かにすべく,次に単葉の光合成の律速因子について調べた。 まず,in-vitro実験について行なった。各区の完全展開時の若い葉身を材料に葉身窒素含量あたりのRubisco量,カーボニックアンヒドラーゼ活性,クロロフィル量およびwhoLe-chainの電子伝達活性を調べたところ,これらの間には何の差も認められず,栽培CO_2濃度の違いによる影響はみられなかった。 次に,in-vivo実験を行なった。同化箱ガス交換装置を用いて,葉内CO_2分圧の低いCO_2分圧での光合成速度(Rubiscoに律速される光合成)に対するCO_2飽和での光合成速度(電子伝達または糖合成に伴うPiの再利用により律速される光合成)の比について調べたところ,高CO_2分圧下で育った植物では前者に対する後者の比は明らかに高くなっていることが認められた。これは、高CO_2分圧下で育った植物では見かけ上Rubiscoに対する電子伝達活性または糖合成能に対するRubisco活性が低くなっていることを示唆する。このように,in-vivoの結果は見かけ上先に述べたin-vitroの結果と相反するものであった。そこで,次年度はこの相反する両者の結果の違いの原因について,液相でのCO_2拡散伝導度の差に注目し解析をする予定である。
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