1994 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中のセルロース基質圏におけるセルラーゼ系と微生物相との関係
Project/Area Number |
04660071
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山本 広基 島根大学, 農学部, 助教授 (30112121)
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Keywords | 土壌微生物 / セルロース分解 / セルラーゼ / 土壌酵素 |
Research Abstract |
土壌中におけるセルロース分解に伴う基質上の微生物フロラの遷移と分解に関与する酵素群の消長をin situ測定法を用いて検討した。 土壌中に埋設したセルロース基質上からの遊離セルラーゼの回収方法とその解析方法について検討し、Cx-セルラーゼ(CMCase)については簡便な方法を確立した。これまで土壌セルラーゼの研究に本研究のようなアプローチはなく、土壌中における粗大有機物の分解に関する生態学的な解明に新知見をもたらすものと考えられる。 セルロース基質から直接抽出される遊離セルラーゼ、とくにCx-セルラーゼ(CMCase)を電気泳動することによって、その消長とセルロース分解との関係を解析した。CMCaseのアイソザイムパターンは種々の条件によって異なり、とくに培養温度の違いによるにアイソザイムパターンの違いは顕著であった。また、培養期間に伴うCMCaseの消長も認められた。したがって、環境条件が異なることによって、セルロース分解に関与する微生物フロラが異なること、また、セルロース分解の進行に伴ってそのフロラが遷移していることがCMCaseの面からも確認された。 これらのことを確認するため、セルロース基質上から直接分離される優占糸状菌の産生するCMCaseについて検討することを試みたが、活性測定法に問題が生じた。すなわち、分解に伴ってセルロースから遊離する還元糖量から活性を推定するのが常法であるが、元々培地中に含まれる糖が妨害となる。そこで、培養ろ液中の糖の除去あるいは別の活性測定法について検討したが、なお改善を要する問題が残された。
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