1992 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンアミド結合タンパク質の性質と生理作用の解明およびビタミン定量への応用
Project/Area Number |
04660083
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田口 寛 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60024593)
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Keywords | ニコチンアミド / ニコチンアミド結合タンパク質 / ナイアシン / ブタ肝臓 / ビタミン |
Research Abstract |
追加分として採釈され、昨年11月から本課題の研究を始めたので、予定より遅れているが、現在までに下記のような結果が得られている。 ニコチンアミドとニコチンアミド結合タンパク質との結合の測定は、当初はセファデックスG-100などによるゲルろ過で、高分子画分をニコチンアミドと分離し、その放射活性を計測することにより行っていた。しかしこの方法は、その分離にかなりの時間がかかるために、もっと迅速な分離法の開発が必要であった。そこで、本研究を開始するに際し、まずその分離法の改良についての検討を種々行った結果、核酸の分離などに使用されているスピンカラム法が適していることが判明したので、今後はこの方法を採用して活性測定の迅速化を図り、本タンパク質の精製などの能率を向上させることにした。 次に、ブタ肝臓からのニコチンアミド結合タンパク質の精製の予備実験を行った。先ず硫安分画をしてみたところ、60%飽和沈澱画分に最も高い活性が検出された。しかし、硫安分画は、いずれも収率が低く、その原因を種々検討したが、よく分からなかった。そこで、ひとまずこの方法は中断して、次にイオン交換クロマトグラフィーを行ったところ、陰イオン交換ゲルに吸着することが判明し、リン酸緩衝液の濃度を上昇させて溶出してみた。その結果、0.01M、0.1M、および0.5Mで溶出される各画分にニコチンアミド結合タンパク質が見いだされ、今回初めてニコチンアミド結合タンパク質には3種類の分子種が存在することが明らかになった。このうち、量的に最も多かった0.5Mリン酸緩衝液溶出画分を、さらに同様の方法によって再クロマトした後、セファデックスG-100カラムのゲルろ過に供したところ、ニコチンアミド結合タンパク質の1つを、収率2.4%で295倍に精製することができた。 現在、この精製標品の諸性質について検討中である。
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