1992 Fiscal Year Annual Research Report
セラチアセリンプロテアーゼ遺伝子を用いた大腸菌の異種蛋白質菌体外分泌系の構築
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04660106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 稔 東京大学, 農学部, 助手 (80191617)
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Keywords | セリンプロテアーゼ / 分泌 / グラム陰性菌 |
Research Abstract |
1. セラチアセリンプロテアーゼ(SSP)の分泌機構に関する研究 SSPの外膜分泌装置として機能していると考えられるC末蛋白と菌体外に分泌される成熟酵素との境目には、機能不明な71アミノ酸よりなるjunction領域が存在する。そこで、SSPの分泌系を利用した異種蛋白質の大腸菌からの分泌系を確立する上で、この領域の機能を明らかにすることは重要であると考え、その機能の解明に取り組んだ。junction領域を欠失させたSSP遺伝子を導入した大腸菌では、C末蛋白は外膜中に検出されるのに対して、成熟酵素部分はどの画分にも検出されずプロデアーゼ活性も見い出されなかった。しかし、この菌とjunction領域を含み成熟酵素部分のN末側約4/5を欠失させたSSP遺伝子をプラスミド上に保持する大腸菌とを混合し、スキムミルクプレート上で培養したところ、それぞれ単独での培養とは異なり明瞭なハロー形成が認められた。この結果はjunction領域のペプチドが外膜外側にまで輸送された成熟酵素のfoldingに関与し、しかもそれが菌体外でトランスに機能しうることを示唆している。 2. SSPの分泌系を利用した異種蛋白質の分泌に関する研究 SSPの外膜分泌装置であると考えられるC末蛋白を、シグナル配列をもつ脱窒菌Alcaligenes faecalisの青色銅蛋白のC末側に連結した融合蛋白質をコードする遺伝子を構築し、大腸菌で発現させたところ、青色銅蛋白が外膜を透過したことは既に報告したが、この系にさらに改良を加えるため、上述のjunction領域および様々な長さの成熟酵素のN末側領域の一部を含んだ形のC末蛋白をシグナル配列をもつ青色銅蛋白のC末側に連結した融合蛋白質について検討したが、青色銅蛋白はペリプラズムに検出され、菌体外には分泌されなかった。
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Research Products
(1 results)