1993 Fiscal Year Annual Research Report
エノキタケのヘテロカリオン2核菌糸における有用遺伝子発現の解析と育種への活用
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04660120
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Research Institution | TOTTORI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北本 豊 鳥取大学, 農学部, 教授 (10032294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 信寛 鳥取大学, 農学部, 助教授 (30127469)
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Keywords | きのこ / エノキタケ / Flammulina velutipes / きのこの育種 / スーパーオキサイドジスムターゼ / ヘテロカリオンの遺伝子発現 / きのこの高温性品種 / エイキタケの白色品種 |
Research Abstract |
本研究は、エノキタケの育種において、高温菌開発における最適生長温度特性発現、純白系品種開発における白色きのこの形成、の最重要2課題について、ヘテロカリオンにおける遺伝子発現のルールを解明し、きのこの新品種開発に活用することを目的とする。平成5年度の研究は、2核菌糸における温度特性遺伝形質および子実体の白色化と関連する2酵素の活性制御に関する遺伝形質発現の規則決定を目標とし、次の成果を得た。 (1)高温性遺伝形質では、試作した2核交雑株における高温株の出現頻度は総数の51%で、高頻度発現は両者が高温性1核親株の場合で、1親株以上が高温株であることが必須条件であった。高温1核株間の交雑ではA1B1×A2B2とその逆交配で高温株が80%以上であったが、A1B2×A2B1とその逆交配では59%および35%で、高温菌育種におけるA1B1+A2B2の核型構成の優位性と、2核菌糸の核分裂における核の上下性と発現の関連が推察された。 (2)本菌子実体白色化の機構は、細胞内還元反応系としてのSOD比活性の高さと、PO/SOD活性比で高い交雑株が白色性を示すことが推論された。交配分析では、白色交雑株の親株1核菌糸でいずれか一方が50U/mg以上の高SOD活性を有することが要件で、白色を示す交雑株はほぼ例外なく親株と同等以上の活性発現が見られ、1核菌糸株に白色形質の遺伝形質の存在と、交雑株における発現の遺伝的規則性が確認された。PO活性の発現では、交配株と、親株1核菌糸での発現に規則性は見いだせなかった。 (3)エノキタケの染色体数をPFGE分析で8本と推定した。同一系統内1核および2核株は同一のDNAサイズであったが、異品種では一部染色体のサイズに違いがあった。 以上の研究により、エノキタケの育種において、応用可能な、高温性品種および白色子実体形成品種に関する経験的遺伝則と育種基本技術が確立された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yutaka KITAMOTO,Masato NAKAMATA and Paul MASUDA: "“Production of a novel white Flammulina velutipes by breeding". In“Genetics and Breeding of Edible Mushrooms".(分担執筆)" Gordon & Breech Publishers,Philadelphia,U.S.A., (1993)