1993 Fiscal Year Annual Research Report
芥子油類とアミノ酸の反応により生成する水溶性抗菌物質 構造と特性
Project/Area Number |
04660131
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Research Institution | UTSUNOMIYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宇田 靖 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (80091940)
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Keywords | 抗菌活性 / 芥子油 / アミノ酸 |
Research Abstract |
本年度は,芥子油として前年度の検討で水存在下において不安定であることが確認された大根芥子油(4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアナート:MTBI)を用いて検討した. 1.MTBIとアミノ酸の反応生成物の確認 糸状菌に対する抗菌性が比較的強いVal及びThrとMTBIの水溶性反応生成物と,同抗菌性が弱かったGlu及びArgとMTBIの反応生成物を選び,逆相シリカゲル薄層クロマトグラフィー(逆相TLC)による成分分析を試みた.その結果,試験した反応生成物中に新しくニンヒドリン陽性物質のほか,UV下無蛍光の物質と鮮黄色物質の生成を認めた. 2.抗菌性反応物質の分離精製及び特定 生育阻害の発現が顕著に見られた2種の糸状菌(Eurotium chevarieri及びCladosporium colocasiae)を指標菌として逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより活性成分を分画した結果,10%メタノール及び75%メタノールで溶出する画分中に活性成分の存在が確認された.そこでこの画分を逆相TLC及びHPLCにより分離精製を行った結果,逆相TLCで低Rf画分(Rf0〜0.25)と,高Rf画分(Rf0.45〜0.70)の両画分に高菌活性が認められたが,その強度は低Rf画分の方が強力であることを見出した.この方法により,アミノ酸とMTBIの反応により生成する抗菌物質の分離精製は可能であることが明らかになった.低Rf画分中の抗菌性物質は黄色物質であることが強く示唆された.また,高RF画分中にはニンヒドリン陽性物質を含む複数成分が存在したが,その中にMTBI分解物の抗菌物質であるTPCの存在を確認した.これらの成分はアミノ酸の種類により量的に変動するものと推察された.しかし,黄色物質も含めて新たに生成する抗菌性成分のその化学構造を明らかにすることは今後の課題として残された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Uda,H.Matsuoka,H.Kumagami,H.Shima and Y.Maeda: "Stability and Antimicrobial Property of 4-Methylthio-3-butenyl Isothiocyanate,the Pungent Principle in Radish" 日本食品工業学会誌. 40. 743-746 (1993)
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[Publications] Y.Uda,H.Matsuoka,H.Shima,H.Kumagami and Y.Maeda: "Antimicrobial Activity of Water-soluble Products Derived from Radish Mustard Oil and Identification of an Active Component therein" 日本食品工業学会誌. 40. 801-806 (1993)