1992 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の脱皮を制御する神経ペプチドの単離と構造解析
Project/Area Number |
04660132
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 寛道 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60134508)
|
Keywords | アメリカザリガニ / 眼柄ホルモン / 脱皮抑制ホルモン / エクジステロイド / Y器官 |
Research Abstract |
平成4年度の研究成果は以下のとおりである。 1.実験材料としてクルマエビとアメリカザリガニを検討したが、クルマエビは種々の点で実験室内で飼育することが困難であったので、実験はすべてアメリカザリガニを用いて行った。クルマエビは抽出材料として用いることはあり得ると考えられる。 2.脱皮間期のザリガニの眼柄を切除すると、両眼柄を切除した個体は6〜12日後に脱皮したが、片方の眼柄のみを切除した個体は脱皮しなかった。このことは眼柄に脱皮抑制ホルモンが存在するという従来からの推定を支持するものである。 3.脱皮間期のザリガニに脱皮ホルモンである2D-ヒドロキシエクジソンを注射してその効果を調べたところ、2日間連続して4μgずつ注射すると約80%のザリガニに脱皮を引きおこすことができた。なお、4μg1回の注射では効果はなかった。 4.ザリガニのエクジステロイドの産生器官であるY器官を体外培養し、エフジステロイドの分泌量を調べた。3種類の培地を検討した結果、食塩を添加したTCM199培地が最も好成績であった。なお、エクジステロイドの正確な定量法は現在検討中であるが、予備実験の結果から、培養液をn-ブタノールで抽出し、乾固した後、高速液体クロマトグラフィーで分離定量することが可能と考えられる。同様の方法を用いて血液中のエクジステロイド量も定量できるのではないかと考えている。 5.抽出材料としてこれまでにザリガニの眼柄を約1000個集め、20mM塩酸を含む1M酢酸溶液で神経ペプチドを抽出した。現在、この抽出物にY器官のエクジステロイド分泌抑制活性が含まれるかどうかを培養系を用いて検討中である。
|