1993 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の脱皮を制御する神経ペプチドの単離と構造解析
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04660132
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Research Institution | Ocean Research Institute, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 寛道 東京大学, 海洋研究所, 教授 (60134508)
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Keywords | 甲殻類 / 脱皮 / 神経ペプチド / クルマエビ / アメリカザリガニ / アミノ酸配列 |
Research Abstract |
本研究は甲殻類の脱皮を制御する内性因子を検索、精製、構造決定することを目的に開始した。昨年度は生物検定系を確立することを目指したが、成功しなかった。そこで、今年度はこれまで唯一ワタリガニで化学構造が明らかになっている脱皮抑制ホルモン(MIH)に類似の構造を有する物質を化学的に検索することにした。すなわち、このホルモンはCHH族ペプチドの一員であり、この族の化学的特徴として、分子量8500-9300,分子内に3対のジスルフィド結合を有するという2点がある。この2点を指標にして、クルマエビとアメリカザリガニのMIH様ペプチドを検索した。 まず、眼柄全体を材料として、熱処理、酸抽出、逆相分配前処理、ゲルろ過、2回の逆相HPLCを行うことによって、いくつかの候補になるペプチドを質量分析で選び出した。しかし、配列分析の結果、いずれも目的物ではないことがわかった。そこで、今度はサイナス腺を抽出材料して精製した。これを食塩水で抽出し、直接HPLCで分離し、すべてのピークについて質量分析を行った。その結果、いずれの動物からもCHH族ペプチドと考えられるペプチドが得られた。これらは還元カルボキサミドメチル化すると、分子量が約350増加したことから一層その可能性が高くなった。配列分析の結果から、アメリカザリガニからは血糖上昇ホルモン(CHH)およびMIHあるいは卵黄形成抑制ホルモン(VIH)のどちらかではないかと考えられるペプチドが得られた。前者についてMIH活性を調べたところ、5サイナス腺相当量でY器官による脱皮ホルモンの合成と分泌を約30%抑制することがわかった。また、クルマエビからは類似の配列を有する5種類のペプチドが得られ、既知CHH族ペプチドとの相同性の比較からこれらはすべてクルマエビのCHHと考えられた。さらに、これら5種類のペプチドは1個体がすべて合成していることがわかった。
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