1993 Fiscal Year Annual Research Report
シダ植物におけるジベレリン関連造精器誘導物質の分布と作用発現機構の追究
Project/Area Number |
04660134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山根 久和 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (80090520)
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Keywords | Schizaeaceae / Mohria caffrorum / Ceratopteris richardii / 造精器誘導物質 / Lygodium japonicum / GA_<73>メチルエステル / ディファレンシャルスクリーニング |
Research Abstract |
シダ植物の造精器誘導物質はいくつかの異なる系統の物質群であると考えられるが、フサシダ科のシダの造精器誘導物質はジベレリン(GA)関連構造を有していることが知られている。本研究では、フサシダ科の一種、Mohria caffrorum、及びフサシダ科のシダの造精器誘導物質とは異なる系統の物質と考えられるがGA生合成阻害剤処理によりその生産が阻害される、ミズワラビ(Ceratopteris richardii)の造精器誘導物質(Ace)の単離を試みた。M.caffrorum前葉体の培養液からantheridic acidと3-epi-GA_<63>をGC-MS法により同定した。また、Aceについては、2段階のODS-HPLCにより得られた活性画分をGC-MS分析に供したところ、methyl pimara-8,15-dien-18-oate、あるいはmethyl isopimara-8,15-dien-18-oateと非常に類似したスペクトルを示す物質の存在が示された。 一方、造精器誘導物質の作用発現機構追究の一環として、カニクサ(Lygodium japonicum配偶体において、その主要造精器誘導物質であるGA_<73> methyl ester(GA_<73>-Me),10^<-10>M処理により発現が誘導される遺伝子の単離を試みた。GA_<73>-Me処理した前葉体から得られたpoly(A)^+RNAからcDNA libraryを作成し、処理・未処理の前葉体各々から得られたpoly(A)^+RNAより調整したプローブを用いてディファレンシャルスクリーニングを行った。約50,000プラークをスクリーニングし約60個のクローンを選抜したが、これらクローンのインサートをプローブとしたノーザン分析ではGA_<73>-Me処理により発現量が変化すると考えられるクローンは得られなかった。本法によるスクリーニングは、目的とする遺伝子の発現量が少ない場合は検出が困難であることから、今後はサブトラクション法等発現量が少ない場合でも適用可能な方法をとる必要があると考えられる。
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