1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660137
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山内 亮 岐阜大学, 農学部, 助教授 (50126760)
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Keywords | β‐カロテン / 脂質過酸化 / 抗酸化剤 / フリーラジカル / ペルオキシラジカル |
Research Abstract |
カロテノイドは動植物界に広く存在し、その機能の一つに抗酸化作用がある。カロテノイドによる抗酸化作用は、カロチノイドが脂質フリーラジカルを捕捉してフリーラジカル連鎖反応を停止させることによると考えられるが、その詳細は不明である。本研究では、β‐カロテンと脂質フリーラジカルの反応生成物を検討することによって、カロテノイドによるフリーラジカル捕捉反応機構を明らかにすることを目的とした。 β‐カロテンと、フリーラジカル反応開始剤(AMVN)より生じさせたアルキルペルオキシラジカルをベンゼン溶媒中で反応させると、多数の反応生成物が認められた。その中で7種の化合物を分離し、それらの化学構造を12‐formy1‐11‐nor‐β,β‐carotene(1)、15'‐formy1‐15‐nor‐β,β‐carotene(2)、19‐oxomethy1‐10‐nor‐β,β‐carotene(3)、5,6‐epoxy‐5,6‐dihydro‐β,β‐carotene(4)、13,15'‐epoxyvinyleno‐13,15'‐dihydro‐β,β‐carotene(5)、15',13‐epoxyvinyleno‐13,15'‐dihydro‐β,β‐carotene(6)、11,15'‐cyclo‐12,15‐epoxy‐11,12,15,15'‐tetrahydro‐β,β‐carotene(7)とそれぞれ同定した。これらの化合物はβ‐カロテンに酸素-分子が付加したものであり、化合物4以外は全て新規化合物であった。また、これらの化合物の生成・消失挙動をHPLCを用いて調べると、β‐カロテンの減少にともない化合物1〜7が生成し、反応の進行とともに化合物1〜4は消失したが、化合物5〜7は比較的安定で反応溶液中に最後まで検出された。従って、比較的安定な反応生成物5〜7は、フリーラジカル捕捉反応の指標化合物として今後利用できそうである。現在、以上の研究結果をもとにして、実際の脂質フリーラジカル種とβ‐カロテンの反応を検討している。
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