1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660138
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂田 完三 静岡大学, 農学部・付属魚餌施設, 教授 (20087563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 哲也 静岡県裁培漁業センター, 技師
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Keywords | アワビ幼生 / サラサバテイ幼生 / 着底誘起物質 / 変態誘起物質 / GABA / サンゴモ / ヒライボ / メガイアワビ |
Research Abstract |
共同研究者であったアワビ種苗生産のベテランの川島氏の転勤という予期せぬ出来事があり、当初の実験計画("舐め板"からのアワビ幼生の着底・変態誘起物質の単離)を変更せざるを得なかったが、幸いにも共同研究を継続できることとなった。昨年度確立したアワビ幼生の着底・変態誘起物質検索用の生物試験法は、アワビ幼生ばかりでなく、その他の近縁の藻食性巻貝のサラサバテイやメガイ、トコブシの幼生にも適用できることを確認した。昨年度、γ-aminobutyricacid(GABA)が10^5Mでサラサバテイ幼生の変態を誘導したことから、本年度は、まず日本産のクロアワビなどにはその効果が疑われているGABAの活性を確認することを目的に研究を進めた。その結果、GABAは、トコブシには効果が無かったが、クロアワビ、メガイにおいても10^<-6>Mで効果があることが確認できた。そこで、共同研究者の阿久津らは、GABAを実際のアワビの種苗生産に応用することを試み、応用への手掛かりを得たことは大きな収穫であった。 次に、昨年度確認した無節サンゴモのヒライボに含まれるサラサバテイ幼生の着底・変態誘起物質の単離を目的に研究を進めた。沖縄地方を度々襲った台風の影響で幼生の入手が思うようにならず、この種の研究の大変さを痛感した。このような期待に反する状況ではあったが、昨年度確認した画分に同様の活性を確認した。この画分をさらに分画し、サラサバテイでは不飽和脂肪酸よりも極性の低い画分に活性を認めた。クロアワビやメガイの場合は、より極性の高い画分に活性が認められた。限られた回数の生物試験しかできなかったため、活性物質の単離には至らなかったが、サンゴモにはGABA以外に、サラサバテイばかりでなくクロアワビやメガイの幼生の着底・変態を誘起する化学物質が存在することを確認できた。念のため、各種の脂肪酸についてもサラサバテイについて試験をしたが、脂肪酸の示す活性は、幼生の面盤を捨てさせるが、次の変態ステップの周口殻の形成が起こらず、異なるものであることが確認された。
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