1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
月向 邦彦 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10023467)
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Keywords | 失活酵素 / 再活性化 / 圧力効果 |
Research Abstract |
平成4年度の研究計画にしたがって、2種のオリゴマー酵素(カタラーゼとラクターゼ)について、加圧による失活酵素の再活性化について検討した。 (1)3000気圧で失活させたカタラーゼ(残存活性60%)を1000〜2000気圧で再加圧すると、10分程度の加圧で活性は回復した。この再活性化の程度は圧力の増加とともに上昇するが、1500〜2000気圧で最大となり、ほぼ100%まで回復する。また、カタラーゼの未変性濃厚溶液を1000倍以上に急速に希釈すると、活性は時間とともに減少するが、500〜1000気圧の加圧下では失活は抑制された。これらの結果は、カタラーゼの解離会合平衡(四量体(] SY.dblharw. [)二量体(] SY.dblharw. [)単量体)の速度過程が加圧により影響され、活性種(四量体)の増加へとシフトすることを示唆している。このような加圧による再活性化は、凍結融解、凍結乾燥、加熱失活した酵素については見られなかった。 (2)ラクターゼの活性は加圧により増加し、500気圧程度で最大となり、さらに加圧すると減少し、2500気圧ではほとんど失活した。この圧力変性は可逆的であるが、脱圧後の活性はもとの活性より大きく上昇した。同様の再活性化は室温一晩放置により失活した酵素についても観察され、500気圧で繰り返し加圧することにより、2倍程度まで活性が回復することがわかった。しかし、加熱失活酵素では加圧による再活性化は見られないことから、加圧による再活性化は弱い変性条件下での失活に対して有効であり、オリゴマー酵素の解離会合平衡のドリフトが大きな要因と考えられた。 これらの研究成果について、現在論文作成中である。
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