1992 Fiscal Year Annual Research Report
Bacillus cereusの嘔吐毒検査法の確立とその産生機構の解明
Project/Area Number |
04660147
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 敬久 九州大学, 農学部, 助手 (70190816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉元 誠 九州大学, 農学部, 助教授 (90182831)
波多野 昌二 九州大学, 農学部, 教授 (30038260)
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Keywords | Bacillus cereus / 嘔吐毒 / 空砲化因子 / Intestine407細胞 / HEp-2細胞 / 毒性試験 |
Research Abstract |
1.Int407細胞、HEp-2細胞を用いて嘔吐毒の引き起こす空胞化について調べた。B.cereus嘔吐毒産生株をハートインフュージョン(HI)培地中30℃で24時間振とう培養後、その滅菌培養上清の2倍希釈列を作り、前述の培養細胞に添加しても空胞化を引き起こす希釈倍率(力価)は低かった。しかし、実際にB.cereus嘔吐型食中毒の原因食品となる米飯、スキムミルクを培地として培養すると嘔吐毒の産生は30〜60倍に増加した。これらの構成成分であるアミロペクチン、カゼインなどをHI培地に加えて培養しても嘔吐毒の産生は米飯、ミルクなどと同程度まで増加した。 2.種々の市販培地についても毒素産生性を調べた結果、B.cereus嘔吐毒産生株をブレインハートインフュージョン培地で培養した場合にはアミロペクチンやカゼインよりも高い毒素産生性を示した。これに対して、ニュートリエント培地、ハートインフュージョン培地、トリプトソイ培地、チオグリコール酸培地では、毒素産生は低かった。胞子形成について調べたところ、胞子はニュートリエント培地で培養した場合にのみ確認された。また、B.cereusを胞子形成を促進するG培地で培養しても毒素の産生は低かった。これまで、胞子形成と同じ時期に嘔吐毒の産生も高くなると報告されており、今回の結果は、これまでの報告とは異なるものであった。今後、さらに菌体の表層成分、鞭毛などと嘔吐毒との関連についてもを追求したいと考えている。 3.嘔吐毒産生の比較的低かったHI培地に0.5%となるように各種アミノ酸、糖を添加した培地でB.cereus嘔吐毒産生株を培養し、毒素産生を調べた。その結果、スレオニン、メチオニン、グリシン、バリン、ラフィノースでは毒素産生促進効果が認められた。逆に、フルクトース、キシロース、グルコサミン、プロリン、シスチンでは毒素の産生は抑制された。
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