1993 Fiscal Year Annual Research Report
林業用作業服の機能性および快適性の向上化に関する研究
Project/Area Number |
04660155
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 秀夫 東京大学, 農学部, 助教授 (70126069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 裕子 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (30143184)
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Keywords | 林業作業 / 作業服 / 衣内気候 / 下刈作業 / 労働負担 |
Research Abstract |
前年度に、炎天下における下刈作業現場において、メモリ式温湿度データ収録装置を用いて、発汗量、皮膚温などの精細なデータを収集し、腹部、胸部の発汗、温度変化は個人差が大きいが、開口部を大きくすることにより改善しうること、背部は密閉されやすく直射日光の影響を大きく受けること等の知見を得た。今年度は、吸汗性の高い綿と、熱伝導性が高く、水分の吸収発散が速い麻を用いて夏用作業服の試作を4種類行い、野外試験、室内試験を行った。その結果、以下の成果が得られ、下刈作業の労働負担を改善しうる作業服が製作された。 (1)襟を大きく開けた設計の効果により、胸部の温度が低く、安定していた。 (2)高温時の強度作業では素材や衣服の構造に関係なく衣内湿度は100%に達するので、着心地の問題になる。麻シャツは綿シャツよりも汗によるべとつきが少なく、生地としても丈夫なので、下刈用作業服に適している。 また、各種雨具について衣内気候を検討した結果、現行の雨合羽は、通気性、放熱性が悪く、気温が17〜18℃位でも汗が冷えて寒く感じられた。一方、北欧の既製林業用レインジャケットは、襟が高くて締まっていることと、刈払機の吊りバンドによる押さえつけのために、作業時は背部の通気性が阻害されていたが、適度な通気性による保温効果により、汗が冷えず、寒く感じられなかった。ただし、気温が12℃まで下がると、寒く感じられた。雨天時や冬季集材作業の衣内温度は30〜31℃にあり、季節や天候によって暖かくも寒くも感じられるが、この数値は今後、寒冷用作業服を設計するときの参考になるものと思われる。 林業作業者を対象に行った作業服の機能に関するアンケート調査結果に基づいて、イメージスキャナを用いてデザイン的検討も行った。
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