1993 Fiscal Year Annual Research Report
立木が風,雪などの力学的荷重を受けるときの、樹冠を構成する枝葉および幹の挙動
Project/Area Number |
04660163
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森岡 昇 名古屋大学, 農学部, 教授 (40007943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 稔 名古屋大学, 農学部, 助手 (80153732)
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Keywords | 生枝強度 / 非破壊的測定法 / 弾性係数 / 樹冠 / 接触摩擦力 / 季節変化 / かかり木 |
Research Abstract |
本年度に実施した研究は次の1、2に分かれる。 1. さきに開発した立木生枝の弾性係数の非破壊的測定法を適用して、スギ、ヒノキ、カラマツの3樹種の枝について、力学的測定・解析を試みた。このうち季節変化についてみると、3樹種ともに生枝の弾性係数は、夏から秋、冬へと進むにつれて次第に増加し、特に零下数度の厳寒期には著しい増大が見られた。また冬から春にかけて弾性係数は低下してゆき、夏には前年のレベルにもどった。この変化は生枝の含水率の変化傾向とほぼ一致するものである。 なお含水率の高いスギは、他の2樹種より明らかに季節変化の振幅が大きかった。またスギの場合にのみ枝の太さと弾性係数の間に相関がみられた。これらはスギの枝は木質化する時期が遅く、かつかなり太くなるまでそれが進行しつづけるためと考えられる。 2. 互いに隣接する立木の樹冠同士の接触摩擦力を、現地実験および室内実験により測定した。室内実験には、固定した2本の立木樹冠部(固定木)の間を、台車に乗せたもう1本の樹冠部(移動木)を定速で通過させ、そのときの台車のけん引力を計測する方法を採用した。 接触摩擦力の大部分は、枝同士の絡み合いに基づいて発生する。枝はたわむために移動木が動いてもすぐには離れず、その間に次々に枝の接触が重なり接触力が増大する。このため接触力のピークは移動木が固定木の中央をかなり過ぎてから現れる。葉および小枝は、枝の絡み合いをはずれ難くする働きがある。 樹種間の接触抵抗力の差異については、現在検討中である。
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[Publications] Onwona-Agyeman,S.,Morioka,N.,Kitagawa,K.and Kondo,M.: "Estimating the Bending Strength of Branches in a Plantation." Proc.Soc.Americ.Foresters 1992 Nat'l Conv.,Richmond,VA,USA. 517-518 (1992)