1993 Fiscal Year Annual Research Report
木質系バイオマス由来熱分解タールの流動層In Situ水素化分解による炭化水素の製造
Project/Area Number |
04660173
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 勉 北見工業大学, 工学部, 助教授 (20125389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
射水 雄三 北見工業大学, 工学部, 助教授 (10125388)
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Keywords | 木タール / In Situ水素化分解 / 流動触媒床 / ガソリン |
Research Abstract |
本研究は木材の熱分解タールからの高品質燃料(ガソリン)の製造を主目的として木タールの流動触媒床によるIn Situ水素化分解を試みているが、本分解方式の特徴は前段の熱分解で高付加価値(高機能)炭化物、後段の流動触媒床によるIn Situ水素化分解でガソリン、気体炭化水素の同時生産を目指すところにある。本年度は、熱分解で得られる金属担持炭化物の気相水素化用触媒としての性能について検討した。ダケカンバ材に水溶液含浸でNi(OAc)_2・4H_2Oを添加し、N_2中500℃で熱分解して得られる炭化物は600℃以上の水素中で高いガス化反応性を示したが、300〜400℃(低温域)ではCOの水素化によるメタン生成に対して殆ど触媒作用を示さず、500℃付近(高温域)でもその活性は僅かしか発現しなかった。そこで、炭化物中の金属ニッケルの分散性の向上を図るため、木材をカルボキシメチル(CM)化した後イオン交換法でニッケルを導入し、500℃炭化物を調製した。このCM化炭化物の触媒活性は高温域では大きく向上したが、低温域の活性はまだ不十分であった。木材のCM化の程度を増加させるとニッケル粒子の分散性は向上したが、このことは低温、高温両域の活性増大にそれほど結び付かなかった。ニッケル担持CM化炭化物を400と600℃の熱分解で調製してそれらの活性を調べた結果、400℃では500℃と大差なかったが600℃では低温、高温両域共に活性能が大きく向上した。これは600℃熱分解では金属ニッケルの高い分散性が失われず、ニッケル-炭素間の相互作用が軽減したためと考えられる。600℃熱分解ではガソリン留分の収率を減少させることなく、触媒層中の沈積炭素を減少させ、気体炭化水素の収量増加につながった。従って、本方式の昇温型熱分解-In Situ水素化分解の適正最高温度は600℃程度と予想された。なお、CM化炭化物の金属の高分散性を活かした他の機能材料としての利用も今後の魅力的な課題と考えられる。
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