1992 Fiscal Year Annual Research Report
ファジィ・エキスパートシステムによるベニヤレース単板に生ずる欠点とその原因究明
Project/Area Number |
04660174
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
栃木 紀郎 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (00015661)
|
Keywords | 単板切削 / ベニヤレース / 単板品質 / ファジィ理論 / エキスパートシステム |
Research Abstract |
1.目的 ロータリーレースのオペレータは長年の日常業務を通して蓄積した経験的専門知識や勘を基に,単板における欠点発生の複雑なメカニズムの中から直感的判断を行い,その主たる原因を瞬時に見極め,直ちに対応策を構ている。 本研究では,このよううな熟練作業者が蓄えている経験的専門知識や勘などの潜在的重要性を認識し,これらを一定のフォーマットで知識表現することにより集大成した。さらに,情報のもつ不確実性や経験的専門知識や勘のあいまいさをファジィ処理した。 ファジィ処理された経験的専門知識を基にした判断がある特定の答え(単板に発生した欠点の原因)に収斂する原因診断システムの構築を図った。 2.研究方法および研究成果 (1)経験的専門知識の収集 単板切削に関する内外の既往の文献から,単板に発生する諸欠点およびそれらの原因について検索作業を行い,単板の欠点18項目,その原因58項目から成るアンケート調査票を作成し,日本合板工業組合連合会に加盟する105企業・123工場のレース・オペレータに対してアンケート調査を行なった。それぞれの単板欠点とその原因について,「単板欠点の発生確率と回答率」とから欠点発生の信頼度を算出した。 (2)ファジィ・エキスパトシステムの構築 専門家が長期間にわたって蓄積した経験的専門知識や勘をコンピュータに移植し,専門家でない人間が専門家と同等の知識水準で,木材工学における諸問題の解決を図ることを可能とするエキスパートシステムによる支援システムを開発した。その際,木材そのものが曖昧さを包含する天然素材であり,木材工学は曖昧さを扱う工学であると位置付けて,ファジィ理論を活用した汎用診断エキスパートシステムを確立した。 (3)現場における単板のエキスパート推論の実証とその信頼性の評価 平成5年度において,本研究のアンケート調査に対する回答企業および非回答企業のなかから数社を選び,構築した本推論システムによる推論の信頼性について生産稼働時に現場での検証を行う。
|