1992 Fiscal Year Annual Research Report
針葉樹培養細胞における二次代謝産物の生成ま発現と制御機構
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04660186
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福田 忠徳 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10023441)
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Keywords | 懸濁培養 / プロアントシアニジン / 褐変現象 / イチョウカルス / タンニン |
Research Abstract |
1.フラボノイドおよびタンニン生成の制御について (1)イチョウ葉柄部から誘導したカルスを用いて懸濁培養を行い、培養液中に分泌される二次代謝産物の一つであるフェノール性物質、特にフラボノイド類、縮合タンニン類について調べた。培養液の酢エチ可溶画分にフラバノール類が含まれることがTLC、HPLC等の機器分析により明かになった。 (2)培養細胞(カルス)中のフラボノイド類を調べた結果、イチョウカルスにはプロアントシアニジン類のうち、主にプロデルフィニジンが多く生成され、一方クロマツ、スギカルスにはプロシアニジンが生成されることがわった。 2.フラボノイドやタンニンの生成と褐変現象との関連性について (1)カルスの酢エチ可溶画分についてのHPLC分析より、イチョウの白色(未褐変)カルスには比較的低分子量(二量体以下)のものが低い割合で存在し、褐変カルスにはモノマー(カテキン、エピカテキン、ガロカテキンなど)の量が高い割合で存在することがわかった。モノマーが漱次重合して行くに伴って褐変現象も進行してゆくものと推察される。 (2)カルスからの抽出成分の中でどの画分が褐変化を引き起すかを調べるため、分別抽出を行い酢エチ可溶画分と不溶画分とに分けた。それぞれの画分の一定量を培地に添加して培養した結果、いずれの画分を添加した培地で培養したイチョウカルスも褐変化は起らず、むしろ逆に生長の促進が見られた。対照に用いた葉からの酢エチ可溶画分においては、低濃度でも可成り培養の早い時期に褐変化が起り、生長が阻害された。酢エチ不溶画分では褐変化は徐々に進行して行き、低濃度の時は多少生長するのが観察された。平成5年度は褐変化を引き起す物質の単離・同定を試みる予定である。
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