1993 Fiscal Year Annual Research Report
ウシケノリ野生株とアサクサノリ緑色変異株の細胞融合による雑種の作出
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04660203
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
荒木 利芳 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40091368)
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Keywords | ウシケノリ / アサクサノリ / プロトプラスト / β-1,4-マンナナーゼ / β-1,3-キシラナーゼ / ポルフィラナーゼ |
Research Abstract |
Bangiaceaに属する毛状葉状体の原始紅藻ウシケノリ,Bangia atropurpureaからプロトプラストを大量に単離するための条件を検討した。本藻を細胞壁溶解酵素(3種類の細菌から調製したβ-1,4-マンナナーゼ、β-1,3-キシラナーゼ、ポルフィラナーゼの混液)で処理する前に5%パパイン溶液で処理すると、パパイン無処理に比べて、約8倍のプロトプラストが遊離した。反応液のpHは7.5でマンニトール濃度0.5Mのとき最も多くのプロトプラストが遊離された。また、マンナナーゼとキシラナーゼの組み合わせではプロトプラストは遊離しなかったが、ポルフィラナーゼは単独でも若干の遊離がみられた。葉状体を各多糖分解酵素1unitの混液で22℃、90分間作用させると7.1x10^6コのプロトプラストが単離された。単離したプロトプラストをASP_<12>(NTA)培地を用いて、17℃、照度3,000 1x,1日15時間照明で培養したところ、4日目で細胞分裂が始まり、20日目で数mmの葉状体へ生長した。 次にウシケノリとアサクサノリ緑色変異株から調製したプロトプラストの融合を行った。両藻のプロトプラスト混合液にPEG溶液を加えると、2個から数個のプロトプラストが凝集付着した。ASP_<12>(NTA)培地を徐々に加えて、希釈して行くと、付着していたプロトプラストは融合し、球状の融合プロトプラストになった。PEG処理して得られた融合していないプロトプラスト、および多数の同種または異種融合プロトプラストの混合液を上記条件で培養した。数日後に細胞壁を再生し、細胞分裂とともに仮根の形成がみられた。約5週間培養すると数mmの褐色で毛状または緑色で偏平状の不規則な形のカルスまたは正常な形の幼芽に生長した。また、両藻のプロトプラストの細胞膜の一部が融合した部分融合体が観察され、これは付着した状態で数百μmの大きさにまで生長した。
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[Publications] Toshiyoshi Araki: "β-1,4-Mannanases from marine bacteria,Vibrio spp.MA-129 and MA-138" J.Gen.Appl.Microbiol. 38. 343-351 (1992)
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[Publications] Toshiyoshi Araki: "Isolation and regeneration of protoplasts from Bangia atropurpurea" Jpn.J.Phycol. 41. 341-343 (1993)