1992 Fiscal Year Annual Research Report
海山およびその周辺域における低次生物生産過程の研究
Project/Area Number |
04660204
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
古谷 研 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30143548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 和典 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30226972)
小達 恒夫 三重大学, 生物資源学部, 助手 (60224250)
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Keywords | 海山 / 西部太平洋 / プランクトン / 低次生物生産 / 湧昇 / 基礎生産 / 栄養塩 |
Research Abstract |
7、8、9月に夫々、土佐碆、駒橋第二海山、隠岐海嶺において5から8日間の観測を行い、流れ場および物理・化学因子、プランクトン群集の空間分布構造を調査した。3海域とも温度成層が発達し、海山周辺域では1%光量層以浅での栄養塩は枯渇していた。海山上では水温場の持ち上がりが観測され、それに伴い、硝酸塩躍層が周辺域に比べて浅く、1%光量層以浅に0〜>5μMが存在し、有光層内への活発な栄養塩供給が認められた。 クロロフィルaの分布構造は流れ場に応じて二つの場合に分れた。海山上に均質な流れが存在した場合、水柱積算量は下流側で上流側よりも有意に高く、栄養塩供給に対する植物プランクトンの増殖応答を示した。下層ほど上・下流のクロロフィル量の差が大きく、亜表層の群集が栄養塩トラップとして機能していることが示唆された。また表層でも下流側で有意に高い場合があり、海山の影響が表層にまで及ぶことが明かとなった。一方、水平・鉛直シアーが強く、層流構造がない場合には上・下流のクロロフィルa量に有意な差は認められなかったが、周辺域全体にわたり、海山の影響の無い海域よりも高い量が存在した。 HPLCによる光合成色素の解析から、下流側の亜表層で増殖応答を示したのはおもに原始緑藻類、プラシノ藻および珪藻、ハプト藻等であったと考えられる。また、クロロフィルa量が高い水塊では比較的大型の植物プランクトンの現存量が高かった。球相当径で16μm以上の植物プランクトン炭素量の4μm以下のそれに対する比は、下流側で有意に高かった。この比は非定常性の強い海山域の水塊の履歴を判定するのに有効であると判断された。現在動植物プランクトンの分布構造について、さらに解析を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Furuya, K.: "Evaluation of photosynthetic capacity in phyto-plankton by flow cytometric analysis of DCMU-enhanced chlorophyll fluorescence." Marine Ecology Progress Series. 88. 279-287 (1992)
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[Publications] Furuya, K.: "Wind-dependent formation of phytoplankton spring bloom in Otsuchi Bay, a ria in Sanriku, Japan." Journal of Oceanography. 49. (1993)
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[Publications] Han, M. S.: "Species-specific productivity of Skeletonema costatum (Bacillariophyceae) in the inner part of Tokyo Bay." Marine Ecology Progress Series. 79. 267-273 (1992)
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[Publications] Odate, T.: "Production ecology within the lower trophic levels in marine ecosystems." Memoirs of Faculty of Fisheries, Hokkaido University. 39. 1-85 (1992)
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[Publications] Odate, T.: "Phytoplankton carbon biomass estimated from the size-fractionated chlorophyll a concentration and dell density in the northern coastal waters from spring bloom to summer." Bulletin of Plankton Society of Japan. 39. (1993)
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[Publications] Miyazono, Y.: "Seasonal fluctuations of cell density of cyano-bacteria and other picophytoplankton in Iwanai Bay, Hokkaido, Japan." Journal of Oceanography. 48. 257-266 (1992)