1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660207
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中園 明信 九州大学, 農学部, 教授 (40038253)
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Keywords | アマダイ科 / 雌雄性 / 成長 / 採卵 / 粘液 / 受精率 / 産卵行動 / 種苗生産 |
Research Abstract |
まず本研究ではシロアマダイとキアマダイの天然標本について、雌雄の別、体長、年齢、成長を比較した。その結果、これらの2種のアマダイ科においても雄が大型であること、雌と雄の中間の体長の雄個体で精巣卵が高頻度で出現することが判明した。これらのことから雌から雄への性転換が示唆されたが、周年にわたり比較的多数の生殖腺を調べたにも関わらず、機能的な卵巣から精巣へと転換中の組織像を示すものや、もと卵巣であったことを二次精巣は認められなかった。すなわち、これら2種のアマダイ科魚類が性転換している可能性は低いと考えられる。 次に雌雄による体長差であるが、耳石による年齢査定と成長についての検討を行った。アマダイ科魚類の耳石は年齢形質が読みとりにくく、正確にはさらに検討が必要であるが、現在までのところ雄の方が明らかに成長が早いことが明らかになった。すなわち、この両種で雄の方が大型であるという結果が得られたのは、雌雄の成長差によるものと思われる。 さらに、精巣卵の出現であるが、日本栽培漁業協会若狭湾宮津事業場で種苗生産されたアカアマダイ稚魚の生殖腺を追跡調査した結果、アカアマダイは幼時にはすべて卵巣様生殖腺を持つことが明らかになった。(奥村・中園、未発表)。その後、一部の個体で卵巣組織にかわって精巣組織が発達し、残りの個体ではそのまま卵巣組織が成熟するものと考えられる。すなわち、アカアマダイでは雌雄同体性は見られるが、それ幼時のみである。比較的小型の雄で精巣卵が高頻度で認められるのは、恐らく幼時の卵巣の卵母細胞が発達しつつある精巣内に取り残されたものではないだろうか。事実、精巣卵は退化的傾向が強く分裂像や成熟している像は認められなかった。 本研究の重要な成果は、アカアマダイの産卵行動を観察できたことである。アカアマダイは夜明け前に雌雄がペアになり産卵した。さらに、従来分離浮卵性とされていた本種の卵は、産卵直後には粘液に包まれていることが判明した。 申請者らは研究発表の欄に記載したように、多くの魚の産卵行動を調べているが、アカアマダイのように粘液に包まれた浮性卵は極めて稀である。この粘液は2、30分の内に消失したが、この粘液が受精にどの様に関与するか詳細に検討することにより、受精率向上につながるものと思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kawase,H & A.Nakazono: "Embyonicand pre-larval duvelopment and ototith in crements in two gapanese filefishes,Rudalius ercodes and Paramonacantlus japoniau" Japan.J.Ichthyol. 41. 57-63 (1994)
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[Publications] Kawase,H & A.Nakazono: "Reproduetive behavior of the honeycomb leatherjacket,Cantherhines pardalis at Kashiwajima,Japan" Japan.J.Ichthyol. 41. 80-83 (1994)
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[Publications] Sunobe,T.T.Ohta & A.Nakazono: "Mating system and spawning cycle in the blenny,Istiblennius enosimae,at Kagoshima,Japan" Env.Biol.Fish. (in press).
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[Publications] Kawase,H & A.Nakazono: "Predominant maternal egg care and promiscuous mating system in the Japanese filefish,Rudarius ercodes." Env.Biol.Fish. (in press).