1992 Fiscal Year Annual Research Report
赤潮プランクトンシャットネラが産生する活性酸素と魚毒性との関係の解明
Project/Area Number |
04660208
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 助教授 (00184565)
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Keywords | シャットネラ / 有害プランクトン / 活性酸素 / ブリ / へい死機構 |
Research Abstract |
ブリの血中過酸化脂質濃度がシャットネラ曝露初期の段階で有意に上昇することが明かとなった。この事実はシャットネラによるブリ生体成分の酸化が鰓のガス交換能を低下させ得る可能性を示唆するものであり、更に詳細に検討する必要がある。しかし、血中非蛋白性SH基濃度(NPSH)はシャットネラ曝露後もあまり変動しなかった。NPSHについては未だ測定技法上の問題が完全には解決されておらず続けて検討したい。血漿中SOD活性もシャットネラ曝露によって変化しなかった。 シャットネラによる主要被害魚種であるブリと被害の殆ど報告されていないヒラメについて鰓のカタラーゼ活性を酸素電極法を用いて比較した。ブリについての値は平均値でヒラメの約1/2であったが、ヒラメの値は個体間の変動が大きく統計的有意差は検出できなかった。他の臓器組織についても同様の検討を行った。またスーパーオキシドディスムターゼについて、現在亜硝酸法を用いて魚種間の比較を検討中である。 鰓を通過する前後の呼吸水を採取し、その過酸化水素濃度を比較したが、口腔水と鰓腔水濃度との間に有意な差を認めることはできなかった。口腔水と鰓腔水のpHを比較したところ、シャットネラ曝露前には鰓腔水pHは口腔水pHよりも約0.2ユニット低い値を示していたが、曝露後には鰓腔水は口腔水と同じpHを示した。シャットネラが鰓の酸排出に影響を与えた可能性が考えられる。 シャットネラ曝露魚の鰓を組織学的に検討した結果、従来言われていた二次鰓弁上皮の浮腫は血液酸素分圧の低下時には起きておらず、ガス交換能の低下を説明し得ないと言うことが明らかになった。唯一認められた組織学的変性は入鰓弁動脈側の一次鰓弁間における多量の粘液の存在であった。活性酸素が粘液細胞からの粘液放出を引き起こすかと言う点について検討の要がある。
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