1993 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の第一次顔面味覚中枢の形成過程に関する神経解剖学的研究
Project/Area Number |
04660210
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
清原 貞夫 鹿児島大学, 教養部, 教授 (50117496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 純三 名古屋大学, 医学部, 助教授 (60022802)
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Keywords | 味覚 / 味覚中枢 / 顔面葉 / 顔面神経 / 魚 |
Research Abstract |
ゴンズイ顔面葉及びその形成過程を透過型電子顕微鏡とGologi染色法を用いて調べた。顔面葉には大小2種類の神経細胞が見られた。小型細胞は直径7〜9mumの球形で、細胞質が非常に少なく十数個の集塊を形成している。大型の細胞は直径20〜12mumの紡錘形で、豊かな細胞質内に明瞭なニッスル顆粒を有している。小型の細胞は小葉の中心部に多く、大型の細胞は辺縁部に多く分布する。小型細胞は分枝の多い樹状突起を有し、その到達範囲は細胞体から50〜60mumである。大型細胞には樹状突起の形態が異なる2種類の細胞が存在する。一つは、表面が滑らかで太くて分枝の少ない樹状突起を有する細胞で、小棘はみられない。もう一種類の細胞は、比較的細く分枝の多い樹状突起を有しその表面には小棘が存在する。大型細胞の樹状突起は2種類の細胞とも細胞体から150mum以上に達する。 顔面葉にシナプス様構造が最初に見られるのは5日齢である。シナプスは15日以降急激に増加する。これらのシナプスは大部分が中程度の太さの線維の断面間に形成されていて、大型の終末に多数の樹状突起が付くもの、細い終末と細い樹状突起間に出来るもの、細胞体への接合等は20日以降に観察されるようになる。Neuropileの領域は13〜15日以降急激に増加し、大型の神経細胞が明瞭に区別できるようになるのもほぼこの時期に一致する。 昨年度に引続き、BrdU法を用いて、ゴンズイとコイの顔面葉の形成過程を細胞動態学的に解析した。ゴンズイの顔面葉は分裂部位が相対的に前方に移動して形成され、顔面葉周辺部で生じた新生細胞は小葉を取り囲む形で移動して小葉の中には入り込むことが判明した。コイでは、顔面葉の腹部、中間部、背部の順に構成され、個体発生の中で早く生じた細胞ほど遠くに移動することが分かった。また両魚種で、胴体部を表す部分が最も遅く形成されることが明らかになった。
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