Research Abstract |
大型海藻のうち緑藻20種,褐藻30種および紅藻20種を微粉末にして供試料とした。試験動物は4週令のwistar系雄性ラットで一群8匹とし,基本飼料にコレステロール1.5%と胆汁末を加え,1.5%食塩水を飲料水として与えたものを対照区に,試験区はこれに海藻粉末5%添加して経口投与した。3〜4日間隔で血圧を測定し,4週後に24時間絶食させてから心臓から採血して血清中の総コレステロール(TC),遊離コレステロール(FC),中性脂質(TG),高比重リポタンパク質(HDL-C),低比重リポタンパク質(LDL-C)を定量して有効藻種を分別した。 上記70種類の中で血圧降下に著効を示した海藻は,褐藻リシリコンブ,紅藻スサビノリ,マフノリであった。即ち,平均収縮期血圧が対照区では試験開始時の124.3±1.8mmHgから167.3±3.1mmHgに次第に上昇したのに対して3種類の粉末投与区では4日後に既に,対照区より有意に低値となっていた。その後,試験区と対照区の差は次第に広がり,28日経過後の収縮期血圧は対照区に比較して有意に低下し,血圧低下作用が認められた。次いで,リシリコンブから粘質多糖のアルギン酸,フコイダンを,スサビノリからポルフィランを,マフノリからフノランを調製して,血圧に対する影響を見たが,いずれの多糖にも顕著な低下作用が認められた。 海藻粉末投与区の中で緑藻ヒトエグサ,褐藻マツモ,ジョロモク,紅藻マフノリがTC,FC,LDL-C値の低下を促進し,褐藻トゲモク,紅藻スサビノリではTG値低下作用を示した。そこで夫々の粘質多糖を投与すると,TC,TG値が低下し,HDL-C値が上昇する傾向を示した。
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