Research Abstract |
1.ポルフィラン誘導体の循環器障害への効力 スサビノリの粘質多糖ポルフィランは高血圧と高脂血症の改善に効果がみられたが,3.7%ホルマリンで除タンパク質後エタノール,エーテルで洗浄,乾燥してから,3.8%NaOH,40℃,1時間処理した。このポルフィラン誘導体はD-ガラクトースと3.6-アンヒドロ-L-ガラクトース含量はポルフィランと変わりないが,硫酸基が1.1%,比粘度は2.6でポルフィランの約1/6量であったが,4週齢,ウィスター系SPF雄ラットの20日間の飼育試験で血圧低下と血清水準の改善に著効を示した。すなわち,血清中の総コレステロール(TC),低比重コレステロール(LDL-C),遊離コレステロール(FC),中性脂肪量(TG)は顕著に低下して注目された。次いで,ポルフィランのみに特異的に作用して,オリゴ糖を産生するポルフィラン分解酵素を寒天工場の土壌中に繁殖するAcinetobacterの一層から分離,精製して2,6,8糖のオリゴ糖からなることを確認した。 2.多糖以外の諸成分の作用 平成4年度の成果の中で,スサビノリ粉末投与区が高血圧や高脂血症の治療に有効であることを報告したが,ポルフィランのみで説明できない有効成分の存在が示唆された。そこで,各種の成分を単離して効果を検討した。脂溶性光合成色素β-カロテンを分離して,ノリ葉体中の含量に合せて添加すると,食餌性高血圧を有意に低下させ,TC,LDL-C,FC,TGが有意に低下し,高比重リポタンパク質(HDL-C)は上昇する傾向が認められた。また、タウリンを6.5mg/匹・日投与したところ,血圧が下ったが,血清コレステロール値は変化が見られなかった。次いで,水溶性色素タンパク質のフィコエリスリンを精製して,飼料に添加すると血圧低下作用が観察された。
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