1992 Fiscal Year Annual Research Report
魚肉軟化過程におけるコラーゲン分解物の検出とその原因酵素の解明
Project/Area Number |
04660224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊原 治彦 京都大学, 農学部, 助手 (90183079)
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Keywords | コラーゲン / コラゲナーゼ / マイワシ / 筋肉 / 軟化 / 冷蔵 |
Research Abstract |
昨年度の結果から、高鮮度魚類特有の歯応えは、筋線維間の存在する結合組織コラーゲンの強度に依存し、貯蔵中における筋肉の軟化は、その機械的強度の低下が主因となっていることが明らかとなった。さらに、貯蔵中にコラーゲンの可溶化が起こることから、軟化は結合組織コラーゲンの酵素的分解による可能性が示唆された。そこで、本研究においては、軟化の顕著な魚種であるマイワシを用いて、その筋肉抽出液中のコラーゲナーゼを検索した。 コラーゲン分解活性は、コラーゲン含有SDS-PAGEで試料を泳動させた後、ゲルをクマシー染色し、分解により生じた末染色バンドとして活性を検出するザイモグラム法と、コラゲナーゼ活性検出用ペプチド基質であるSuc-Gly-Pro-Leu-Pro-MCA分解から求める合成基質分解法とによった。 マイワシ筋肉抽出液の、pH6.5におけるコラーゲン分解活性をザイモグラム法で検討したところ、分子量20万付近に2本の、また7万付近に1本の分解バンドが認められ、複数のコラーゲン分解酵素の存在が示唆された。これらの活性は、トリプシンで前処理することにより上昇することから、その多くは生体内では前駆体として存在しているものと考えられた。また、血合筋と普通筋とでは、活性に顕著な差は認められなかった。一方、DEAE‐セルロースおよびウルトロゲルAcA34により、これらの酵素の部分精製を試みたところ、ザイモグラム法、合成基質分解法のいずれにおいても、コラーゲン分解活性は同一のピークとして検出された。この部分精製標品を用いて各種阻害剤の効果を検討したところ、活性は大豆トリプシンインヒビター感受性を示したことから、セリン型プロテアーゼの関与が示唆された。
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[Publications] Masashi Ando: "Post-morten tanderization of rainbow trout muscle caused by the dismtehration of collagan fibers" Nippon Suisan Gakkaishi. 58. 567-570 (1992)
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[Publications] Masashi Ando: "Three-dimonsional structune of collagon network of peri-cellular connestire tissue in association with fimness of fish muscle" Nippon Suisan Gakkaishi. 58. 1361-1364 (1992)