1992 Fiscal Year Annual Research Report
殺藻性サプロスピラ属細菌の宿主特異性と殺藻機構の解明
Project/Area Number |
04660230
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂田 泰造 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (10041724)
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Keywords | 殺藻細菌 / サプロスピラ / 硅藻 / プラーク / 殺藻性 / アミノ酸 |
Research Abstract |
本研究では、硅藻密度の高いクルマエビ養殖場および沿岸海水より、硅藻細胞を殺藻または溶藻する細菌の検索を行なった。殺藻細菌の分離法としては、重層寒天平板法および液体混合培養法を用いた。重層寒天平板法では宿主層類Chaetoceros ceratosporumの培養濃縮液1mlと試料海水0.1mlをESS軟寒天培地2mlに添加混合して基層平板に重層し、プラーク(溶藻斑)の形成を調べた。液体混合培養法では、藻類液体培養試験管に試料0.1-1.0ml添加して培養液の濁度(OD540nm)を測定した。 クルマエビ養殖場海水からプラークまたは溶藻斑を形成する細菌としてAlteromonas属、Saprospira属、Pseudomonas属が分離された。このうちSaprospira属細菌は増殖温度域、カロテノイド色素、菌体脂肪酸組成などから3群に大別された。分離菌株のプラーク形成はESS培地に添加するアミノ酸の種類によって影響され、それぞれのアミノ酸は1.プラーク形成群、2.コロニー形成群(Glu)、3.細菌非増殖群に分けられた。さらに、藻類培養液に細菌懸濁液または細菌単独培養上清液を添加した時は強い殺藻活性が認められたが、溶藻の進行しつつある藻類細菌混合培養上清液を添加しても殺藻性は確認出来なかった。これらの結果から、Saprospira属細菌の殺藻性は藻類細胞と接触した時に作用する溶藻酵素または菌体表面成分が関与している可能性が示唆された。
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