1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660234
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Research Institution | UTSUNOMIYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
茅野 甚治郎 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (40163729)
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Keywords | 構造変動 / 農地流動化 / 地代負担力 / 利潤関数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、稲作の構造変動と農地流動化のメカニズムを計量的分析から明らかにすることであった。まず、規模拡大への構造変動が如何に進展してきたのか明らかにするために、構造変動メカニズムの要因分析を行った。構造変動要因として、米価、転作率、賃金率、規模の経済性に注目し、それらの要因が構造変動に対して与えた影響を数量的に把握した。さらに、農地流動化に関わって経営規模間の生産構造の計量分析を行った。経営規模別の所得や地代負担力の変動要因を推定した。以上から得られた知見は次のとおりである。 生産調整の強化は、規模拡大への構造変化に対して大きな抑制効果を持つ強力なブレーキであった。米価引き下げは規模拡大を促進するが、構造変動は米価の変動に対して硬直的であった。特に、大規模経営の絶対的な拡大にとって促進効果を持つとは言い難い。自主流通米において優位性を持つ北陸では、価格変動による構造変動はわずかであった。また、生産調整の緩和は、北陸よりも東北における規模拡大をより促進するといえる。 所得変動に対して、米価上昇による増加分は単収増加による増加分を上回っており、賃金率の上昇による減少分は省力化によってほぼ相殺されているが、資本財に関しては価格上昇と設備増加の両面から所得減少に強く働いている。作業受委託の進展している東北では、資本財の外部化によって投入量の増加は幾分抑えられている。北陸では、所得と地代負担力の絶対額が増大する進展・拡大過程の中で、農地流動化を進める規模格差は広がっている。東北では所得と地代負担力が減少する後退・縮小過程の中で、規模間格差は拡大傾向にある。限界所得と限界地代負担力の規模間比較では、農地流動化の経済的条件は成立していることが確認された。
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