1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660248
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山路 永司 東京大学, 農学部, 助教授 (10143405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 達夫 東京大学, 農学部, 助手 (40238738)
吉野 邦彦 東京大学, 農学部, 助手 (60182804)
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Keywords | 水田暗渠 / アンモニア態窒素 / 粗大孔隙 |
Research Abstract |
本研究は、水稲作期間中の灌漑排水において、暗渠水閘を操作することで、灌漑水が強制的に土層中を通過する状況をつくりだし、その浄化機能を明確にすることを目的とした。そこで、圃場での試験に加え、さまざまな土壌・浸透量を設定したポット実験およびカラム実験を行い、土壌種類による差、浸透の効果を明確にした。 圃場実験では、7mm/dayの降下浸透を与えた水田における水量・水質バランスの連続測定を行った。すなわち、自動採水機による等時間間隔サンプリングによって採取した水をイオンクロマトグラフおよび全窒素測定機により分析した。 1/2000aワグネルポットによる実験では、用水濃度が1〜10mg/lのとき、浸透速度が2〜40mm/dの範囲で、全窒素およびアンモニア態窒素は浸透水の70〜99%が除去され、水質は大幅に浄化された。またイネの効果が高濃度で顕著であった。 土層カラム実験については、水質の各負荷を変えた場合の実験として、窒素濃度および浸透速度を変化させた場合を多く実験した。23通りの実験の結果は様々であったが、浸透強度補正ポアボリュームと比濃度との関係式は、各実験結果が同一の曲線上に乗り、基本式として提示できるであろう。また、カラム実験では、土層は均質ではなく、亀裂などの不均一性が存在し、流れも不均一になるので、土層に板状の孔隙、管状の孔隙、および自然乾燥亀裂を与えて、浸透実験を行った。その結果、これら粗大孔隙がある場合はアンモニア態窒素の限界吸着量が低下した。 以上の実験により、汚濁水が水田土層で浄化されることが明らかとなったが、その機能を十分に発現させるためには、適正な水管理に加え、亀裂等の粗大孔隙を発生させない土層管理が必要であると、結論づけられる。
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