1993 Fiscal Year Annual Research Report
地下水面の浅い火山灰土壌における地中水および家畜尿窒素の挙動
Project/Area Number |
04660258
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
豊満 幸雄 宮崎大学, 農学部, 助手 (70197979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 安寛 宮崎大学, 農学部, 教授 (20041030)
武藤 勲 宮崎大学, 農学部, 助教授 (70040863)
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Keywords | 汎用農地 / 放牧草地 / 地下水 / 土壌水 / 降雨 / 溶脱 / 尿窒素 / 火山灰土壌 |
Research Abstract |
農用地における環境保全ならびに農業生産様式の特徴と問題点を、窒素の流れから把握しようと試みている。家畜排泄物中の窒素の一部は草地生態系外に移動し、降水量の多いわが国では土壌からの溶脱が主要な移動形態になると推定される。そこで、圃場に牛尿を施用し、その後の土壌の硝酸態窒素を追跡して、窒素溶脱の一面を明らかにしようとした。 実験はバヒアグラス草地において行った。実験地は地表から120cmまで火山灰土壌、それ以深は砂質土から成っている。実験地には牛尿を多雨時期にあたる1992年8月と少雨時期にはいる10月に与え、尿施用後はハンドオーガを用いて、原則として1〜2週間毎に150cm深さまで土壌採取した。土壌中の硝酸態窒素は10%KClで抽出し、抽出液をアンモニア態窒素に還元した後、デジタルケルダール法により測定した。地表から150cmまでの土壌水の圧力ポテンシャルをテンシオメータで求め、降水量は実験地に設置した雨量計により求めた。 施尿後の土壌中の硝酸態窒素の下降速さを窒素垂直分布のピーク位置の移動からみると、8月施尿の多雨時期を中心とする時期では、硝酸態窒素のピークが20cm程度深さに達するのは施尿後の17日目である。40cm深さ程度と80cm深さ程度に達するのはそれぞれ施尿後の29日と64日目になる。施尿後の148日目には硝酸態窒素が全土層にわたりほぼ均一に分布し、大部分の硝酸態窒素は対象土層から消失する。10月施尿の少雨期を中心とする時期の硝酸態窒素の移動には、地表から20cm程度深さへ達するのに45日間を要し、40cm程度深さには108日間、60cm程度深さまでには194日間を要する。施尿後の267日目までには、全土層にわたり硝酸態窒素がほぼ均一に分布し、硝酸態窒素の大部分は対象土層内から消失する。8月施尿地と10月施尿地では硝酸態窒素の下降速さに大巾な違いがあることが明らかになった。
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